
国連人権理事会のパレスチナ占領地域(東エルサレムを含む)及びイスラエルに関する国連独立国際調査委員会は9月16日、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区のパレスチナ人に対してジェノサイド(集団虐殺)を犯したとする報告書を発表した。
同委員会は、国連人権理事会が2021年5月に設置。パレスチナ占領地域(東エルサレムを含む)及びイスラエルにおいて、2021年4月13日以前及び以降に発生した国際人道法違反の疑いのある全ての行為、並びに国際人権法違反及び侵害の疑いのある全ての行為を調査することを目的としている。また国連人権理事会決議では、同調査委員会に対し、「民族、人種、宗教的アイデンティティに基づく体系的な差別や抑圧を含む、繰り返される緊張、不安定、紛争の長期化の一切の根本原因を調査すること」も求めている。
同委員会は、過去2年間、2023年10月7日及びそれ以降の出来事を調査し、その結果、イスラエル当局及び治安部隊が、1948年のジェノサイド条約で定義される5つのジェノサイド行為のうち、集団の構成員の殺害、集団の構成員に対する重大な身体的または精神的な危害、パレスチナ人を集団として全部または一部の破壊をもたらすよう意図した生活条件の故意的な付与、集団内の出生を妨げることを意図した措置の4つを犯したと結論付けた。
ジェノサイド意図の立証では、同委員会は、国際司法裁判所(ICJ)がボスニア対セルビア事件で示した「唯一の合理的推論」基準を適用。イスラエル当局の発言を分析し、当該発言がジェノサイド意図の直接的証拠であると結論付けた。また、ガザ地区におけるイスラエル当局及び治安部隊の行動パターン(ガザ地区のパレスチナ人に対する飢餓状態及び非人道的な生活条件の強制を含む)を分析し、当該作戦の性質から導き出せる唯一の合理的な推論は、ジェノサイド意図であると認定した。
さらに同委員会は、ジェノサイドの実行者に関し「イスラエル国家に帰属する」と認定。その上で、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領、ベンヤミン・ネタニヤフ首相、当時のヨアヴ・ガラント国防相が、ジェノサイドの扇動を行い、イスラエル当局が彼らに対するこの扇動行為を処罰する措置を講じなかったと結論付けた。
同委員会は、今回の判定結果を受け、イスラエル政府に対し、ガザ地区におけるジェノサイドの終了や国際司法裁判所(ICJ)の暫定措置命令の完全履行を含む、国際法上の義務を直ちに遵守するよう強く求めた。加えて、イスラエル政府に対し、飢餓政策の終了、封鎖解除、大規模な人道支援物資の妨げないアクセス確保、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)や国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の国際職員を含む全ての国連職員および支援物資の配送・調整を行う全ての公認国際人道機関の妨げないアクセスの確保、ガザ人道財団の即時活動停止を求めた。
また、他の政府に対しても、ジェノサイド行為に使用され得る武器等のイスラエルへの移転停止、自国領土内及び管轄権下にある個人・企業がジェノサイドの遂行支援・幇助やジェノサイド扇動に関与しないことへの確保、直接的・間接的にジェノサイドに関与した個人・企業に対する調査及び法的手続きを通じた責任追及措置を講じることを勧告した。
【参照ページ】Israel has committed genocide in the Gaza Strip, UN Commission finds
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