
清水建設は、建設生産プロセスの省人化・自動化に向け、山岳トンネル施工と鉄筋加工・組立の双方で技術導入を進めている。6月11日には、大分県中津市の山岳トンネル工事で、次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」の要素技術を集中適用し、山岳トンネル施工で40%の省人化を実現していると発表した。
シミズ・スマート ・トンネルは、山岳トンネル現場のオートメーション化技術を集約したトンネル構築システム。同社は、各工程の自動施工に対応したロボット、施工管理、データ連携のオートメーション化を含む要素技術の開発を進め、国内トンネル現場への適用を順次進めている。熟練技能者の減少を背景に建設業界で生産性向上が課題となる中、国土交通省が推進する「i-Construction 2.0」に即した省人化対策と位置づける。
今回対象となる日田山国1号トンネル本坑1工区は、大分県中津市と日田市を結ぶ総延長8.8kmの自動車専用道路「日田山国道路」の一部。掘削延長は1,325m、内空断面積は約92m2の大断面道路トンネル。同社は、掘削、ずり出し、支保工建込み・吹付け、ロックボルト打設といった機械掘削工法の全工程に、遠隔施工技術やAI・IoT技術を適用した。
通常の山岳トンネル工事では、トンネル特殊工5人の稼働を前提に工程を組む一方、同現場では、遠隔操作により支保工建込みやロックボルト打設を無人化。ずり出しではダンプ運搬に代えて連続式ベルトコンベアを採用し、切羽確認には移動式LiDARを活用した。またAIサイクル自動判定システムにより、資機材や工程等の施工管理の一部も自動化した。
これにより、トンネル特殊工3人で5人相当の労働力を担う施工体制を確立。切羽近傍への人の立ち入りもなくなり、安全性も向上した。安全管理では、作業の遠隔化に加え、AIを活用した重機接触災害リスク低減システムも採用し、人と重機の接触防止を図っている。
また同社は6月12日、スイス連邦工科大学チューリッヒ校発スタートアップMESH AGに出資し、鉄筋の加工・運搬・組立・結束・溶接の自動化システムを開発することも発表した。ロボットアームを「フィジカルAI」と位置づけ、鉄筋工とロボットが共存する生産体制を構築することで、鉄筋工事の省人化と生産性向上を目指す。
MESH AGは、鉄筋の加工・組立を自動化する制御ソフトウェアを開発・販売するスタートアップ企業。同ソフトウェアでは、図面を読み取り、様々なメーカーのロボットアームの動作をプログラミング・制御。カメラやセンサーで鉄筋の配置、種類、形状を自動認識し、組立順序、掴み位置、結束点等を最適化できる他、配置した鉄筋のずれ等の誤差もリアルタイムに検出・補正しながら組み立てることも可能。
清水建設は今後、建設現場やグループ会社の施設で実証を進め、MESH AGのソフトウェアの日本仕様への適合を進める。人力に依存してきた鉄筋の加工・組立作業の代替を目指す。
【参照ページ】トンネル特殊工3人で山岳トンネルを施工、40%省人化!
【参照ページ】鉄筋の加工・組立作業に「フィジカルAI」を導入
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