
欧州委員会は10月21日、気候災害からの復旧支援を強化するため、3つのEU規則の改正を目指す政策を発表した。今後、EU理事会及び欧州議会での立法手続きに入る。EUでは直近でも、中東欧諸国で大規模な洪水が、ポルトガルでは大規模山火事が発生しており、EU加盟国への財政負担が重くなってきている。
今回改正を目指すのは、欧州地域開発基金(ERDF)と結束基金(CF)の2021年から2027年の7カ年プログラムに関するEU規則、欧州社会基金プラス(ESF+)の2021年から2027年の7カ年プログラムに関するEU規則と、2014年から2022年の枠組の一部となる欧州農業農村開発基金(EAFRD)に関するEU規則の3つ。
今回の発表では、2024年1月1日以降に発生した自然災害全てが支援の対象となり、ポーランド、ルーマニア、オーストリア、チェコ、ハンガリー、ポルトガル、スロバキアは、気候関連の災害を支援するために、約180億ユーロ(結束基金で約177億ユーロ 、EAFRDで5億8,800万ユーロ)が投入される。また将来起こりうる気候関連災害の影響を受けるすべての加盟国を柔軟に支援することができるようになった。
具体的に改正内容は、まず結束政策の各基金(ERDF、CF、ESF+、ジャストトランジション基金)でEU加盟国に対し、被災したインフラや設備の修復、食糧や基礎物資の支援、社会・医療支援、短時間労働資金繰りの一時的支援に、基金を柔軟に活用できるようにする。また、ERDFとESF+の下で2つの新たな措置が導入。1つ目は、30%の追加事前融資を導入し、影響を受けるEU加盟国の予算上の負担を緩和するための流動性が即時注入が行われる。2つ目は、支援措置の補助金100%支給を発動できるようになり、復旧作業を開始するための国の協調予算が不要となる。2021年から2027年のプログラム期間中、EU加盟国に割り当てられた既存の結束政策の各基金の最大10%を、これらの目的に使用することができる。さらに、EU農村開発基金(EAFRD)の改正では、EU加盟国は、自然災害の被害を受けた農家、森林所有者、中小企業に対し、100%EU負担の一時金支給が可能となる。
EUでは、災害復旧のために、2021年から2027年のプログラム期間ですでに結束政策各基金から140億ユーロ、EU連帯基金(EUSF)から毎年11億ユーロを拠出。防災・減災では復興・強靭化ファシリティ(RRF)から90億ユーロを投入。農業関連では共通農業計画(CAP)戦略計画予算から2023年から2027年までに930億ユーロを投じ、突発的な事象への対応予備費として年間4.5億ユーロを計上されている。
【参照ページ】Commission takes further steps to help Member States recover from climate disasters
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