
国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)の「ネットゼロのための保険移行フォーラム(FIT)」は11月14日、国連気候変動枠組条約第29回バクー締約国会議(COP29)の場で、保険会社向けの移行計画(トランジションプラン)に関する初のグローバルガイドを発行した。気候変動だけでなく、生態系・生物多様性の分野も対象に加えた。
保険業界でのネットゼロ実現では、2021年に保険引受での2050年までのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットするイニシアチブ「Net-Zero Insurance Alliance(NZIA)」が発足。しかし、2023年以降、米国共和党が「競争法違反」を主張して反対し、脱退が相次いだ。UNEP FIは2024年4月に解散を決定。替わりに、保険会社、金融当局、アカデミア、NGO等の国連主導マルチステークホルダー・フォーラムとして「ネットゼロのための保険移行フォーラム(FIT)」を創設していた。
【参考】【国際】UNEP FI、保険引受でNet-Zero Insurance Alliance(NZIA)発足。8社が創設企業(2021年7月12日)
【参考】【国際】UNEP、NZIAからの相次ぐ脱退で声明発表。背後には米国共和党の動き(2023年5月30日)
今回発行されたガイダンスは、同フォーラムとしての最初の成果物。保険会社の保険引受ポートフォリオ(保険種目、保険バリューチェーン、保険関係者)の主要な特徴を評価し、環境サステナビリティに関するリスクと機会とともに、移行計画で考慮すべき事項を示した。
また、レジリエントなネットゼロ経済への公正な移行(ジャスト・トランジション)を実現する上で、保険業界がリスク管理者、リスク保有者、機関投資家として果たすべき3つの役割について明確にした。
FIT加盟機関は現在、AVIVA、ゼネラリ保険、Achmea、NN、CNPアシュアランス、クレディ・アグリコル・アシュランス、インシュアランス・オーストラリア・グループ(IAC)、シンガポール・ライフ等、21社。また今回、初のFITサポーターのカテゴリーで、ブラジル保険連合(CNseg)が賛同表明した。
FITは第2弾の成果物として、保険引受ポートフォリオについて深く掘りしたガイダンスを発行する予定。
【参照ページ】UN forum launches first global guide on transition plans for insurers at COP29
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