
国連責任投資原則(PRI)は11月24日、2021年に発行した「A Legal Framework for Impact(インパクトのための法的枠組み)」報告書に基づく実践ガイダンスを発行した。PRI署名機関のアセットオーナーと運用会社の双方向けに、「サステナビリティ・インパクトのための投資(IFSI)」の進め方をまとめた。
【参考】【国際】財務目標と整合する場合、ESG投資でのインパクト追求は推奨。UNEP FI、PRI等発表(2021年7月29日)
【参考】【国際】UNEP FIやPRI、投資家のインパクト投資で最終報告書。是非ではなく加速方策議論を(2024年6月26日)
PRIは、「インパクトのための法的枠組み」の結論として、アセットオーナーや投資運用会社が、1つまたは複数のサステナビリティ要因が、財務上の投資目標を達成する能力に重大なリスクをもたらすと結論づけた場合、もしくは利用可能なエビデンスに基づいて結論づけるべきであると判断した場合、一般的に、そのリスクを軽減するために(投資権限の一部または全部、スチュワードシップ、政策関与、その他を利用して)何ができるかを検討し、それに従って行動する法的義務があるとしている。そして、このような投資行動を「サステナビリティ・インパクトのための投資(IFSI)」と呼んでいる。
また、「インパクトのための法的枠組み」では、IFSIの手法には2つあり、実社会のサステナビリティ目標を追求することで、財務上の目標を達成し、法的義務を果たすための「手段的IFSI」と、実社会のサステナビリティ目標の追求そのものを目的とする「目的的IFSI」に分類している。さらに、ESG投資手法として知られる「ESGインテグレーション」との違いでは、サステナビリティにプラスの影響を与えようという意図があるものを「IFSI」と呼んでいる。
PRIは今回、近年、受益者や顧客の投資を保護するため、サステナビリティ・インパクトやシステミックリスクを意識し、IFSIを進める機関投資家が増えていると言及。この変化の要因として、投資家の実践の進化、政策や規制の変化、気候変動・生物多様性・人権等の問題に関連するシステミックなリスクと機会に対する認識の高まりが背景にあるとしている。
今回のガイダンスでは、「投資家のサステナビリティ・インパクト意図の設定」「意図に沿った実社会のサステナビリティ目標の設定」「アセットアロケーション、スチュワードシップ、政策エンゲージメントを通じたアクション」「進捗測定・報告」の4つのステップで、具体的な進め方を提示している。同時に、これらの異実践のレベル、潜在的なKPI、着手方法についても考察した。
【参照ページ】Investing for Sustainability Impact: Guidance informed by the Legal Framework for Impact
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