
米テキサス州北部連邦地方裁判所は2月14日、前バイデン政権中の労働省が制定した改正エリサ法(従業員退職所得保障法)運用ルールを不当とし無効を訴える裁判で、有効との判決を下し、原告の訴えを棄却した。
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エリサ法は、米企業年金基金のESG投資の受託者責任(フィデューシャリー・デューティ)上の合法性を巡り、長年運用が注目されている。第1次トランプ政権中の労働省は2020年6月、新たなエリサ法解釈案を示し、確定給付金型の企業年金基金に対し、ESG投資についてはリスク調整後リターンを向上させる場合のみ許容されることを明確にすることに加え、同等のリスク調整後リターンが期待される他の純粋財務投資(truly economically “indistinguishable” investments)と比較して、ESGファクターを考慮したほうがリスク調整後リターンが上がることを証明する特別な報告書作成を義務化する内容を盛り込んでいた。
同解釈は、最終決定される前に、政権が第1次トランプ政権からバイデン政権に移行。政権移行後の労働省は2021年7月、第1次トランプ政権中に発出された解釈案を撤回。さらに10月に新たな解釈案を示し、投資意思決定で気候変動を考慮することは、投資リスクを低減し、年金資産に対する長期的な経済リスクを軽減することで、ポートフォリオに有益な効果をもたらしうるとの立場を採用。また、個人の選択の範囲で、投資リターン以外の付随的利益に基づいて投資先や投資行動を選択してもよいことも明確にした。
さらに同解釈案では、非金銭的な要素を採用するときに、金銭ベースでのリスク・リターンが同等となることを義務付ける「タイ・ブレーカー基準」についても、受託運用会社が「制度の財務上の利益に等しく役立つ」と結論づけるものと非常に幅広く定義し、大規模に容認する内容となっていた。同解釈案は2022年に最終決定され、2023年1月から施行されている。
これに対し、共和党州の26州連合は、同ルールは労働省の権限を超越した内容として連邦地方裁判所に提訴。特に「タイ・ブレーカー基準」に関する解釈の無効を求める裁判闘争が始まった。一審判決では、テキサス州北部連邦地方裁判所は、解釈余地のある法律条文については規制当局が解釈できるとする「シェブロン法理」を基に合法と判断している。
しかし、その後の2024年6月、商務省海洋漁業局のルールを不当として漁業関係者が起こした訴訟で、連邦最高裁判所は、シェブロン法理を否定し、曖昧な法律について、行政府に解釈権限があるのではなく、最終的には司法府である裁判所が独自に解釈権限を持つとの判決を下した。その結果、テキサス州北部連邦地方裁判所の判決内容は、連邦控訴裁判所が再び一審に差し戻す決定を行い、再度一審で審理されていた。
今回の判決では、あらためてバイデン政権中のエリサ法解釈の妥当性を評価した。エリサ法は、「受託者が誰の利益を保護する義務を負うか」とその目的は何かを定義しているが、「受託者が何を考慮するかについては何も述べていない」と判断。「目的地までの最短ルートを選択する義務を負う運転手が、目的地に同時に到着する2つのルートのうち、最も景色の良いルートを選択することができるように、受託者も忠実義務を同様に満たす2つのルートのうち、好ましい投資オプションを選択することができる」と述べた。
同訴訟には、第2次トランプ政権のクリス・ライト・エネルギー長官がCEOを務めていた米油田開発リバティ・エナジーも原告団に加わっている。原告側は満足の行く判決が出るまで連邦最高裁判所まで上告する姿勢をみせている。次はまず連邦控訴裁判所での再審理となる。
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