
世界気象機関(WMO)は3月19日、「世界気候の現状2024」の確定版を発表。2024年は観測史上最も温暖な年となったと伝えた。世界の平均地表面温度は産業革命前の基準値から1.55℃上昇し、国際目標の1.5℃上昇を初めて単年で超過した。国際社会は複数年平均での1.5℃未満を目指している。
【参考】【国際】WMO、2023年の気温上昇確定値発表。産業革命からすでに1.45℃上昇(2024年3月21日)
今回の発表の不確かさのマージンは±0.13℃。
(出所)WMO
WMOは今回、過去10年の気温上昇の推計メソッドとして、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次報告書(AR6)で用いられている手法の他に、3つを提示。いずれの手法でも1.5℃には達していないことが判明した。
(出所)WMO
WMOは今回、2024年の気温上昇の主な要因として、温室効果ガス排出量の継続的な増加と、ラニーニャ現象からエルニーニョ現象への変化を挙げた。他にも、太陽周期の変化、大規模な火山噴火、冷却エアロゾルの減少等が影響を与えている可能性があるという。
世界の最新統計となっている2023年の大気中の二酸化炭素濃度は420.0±0.1ppmで、2022年より2.3ppm上昇。すでに2024年も増加を続けたとの観測結果も複数出ている。温室効果ガスによる地球沸騰化エネルギーの約90%を蓄積している海洋の熱量も65年間の観測史上で8年連続の最高値を記録。海洋酸性化も進行しており、特にインド洋、南氷洋、東部赤道太平洋、北部熱帯太平洋、大西洋の一部地域に傾向が強い。
海面上昇では、2024年に世界の平均海面水位が1993年の人工衛星観測開始以来最高。2015年から2024年の上昇率は1993年から2002年の2倍となり、年間2.1mmから4.7mmに増加した。その要因となっている氷河の質量収支は、2022年から2024年の3年間で記録上最も大きく減少。1950年以降で最も質量収支がマイナスとなった10年のうち7年は、2016年以降に集中している。特に、ノルウェー、スウェーデン、スバールバル諸島、熱帯アンデスで減少が大きい。
2024年に発生した異常気象の影響では、災害に起因した年間移住者数が2008年以来過去最多。また、紛争の激化、旱魃、国内の食料価格の高騰等、様々なショックが複合的に影響し、2024年半ばまでに世界18カ国で食料危機が深刻化した。台風、ハリケーン、サイクロンも猛威を振るっていることにも言及した。
【参照ページ】WMO report documents spiralling weather and climate impacts
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