
経済協力開発機構(OECD)は8月11日、鉄鋼・セメント業界の製品カーボンフットプリントの原単位排出量算定手法の整備状況と課題を整理したレポートを発表した。鉄鋼については一定の進展がみられるが、セメントは対策が進んでいないことが明らかとなった。
今回のレポートは、OECDに設置されている「気候クラブ」加盟国からの要請に基づいて作成されたもの。気候クラブは、ドイツとチリが委員長国を務め、日本、英国、EU、カナダ、スイス、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、トルコ、エジプト、カザフスタン、ケニア等が加盟している。
製品カーボンフットプリントの算定は、企業の自主的な算定・開示だけでなく、EUのCBAM等の国境炭素税やグリーン公共調達にも活用され、各国政府の政策においても算定の在り方が重要となってきている。
一方、算定に関しては、一次データは依然として収集コストが高く、多くは業界平均値やデフォルト値に依存。また、各算定においても、対象とするスコープや、ライフサイクルのバウンダリーが一致しておらず、共通の算定方法が確立されていない。さらに、企業機密や契約・規制上の制約、国際的なデータローカライゼーション規制の影響を受け、データ共有も阻害されている状況にある。
その中で、国際的な作業として、世界鉄鋼協会(WSA)やResponsibleSteel、セメント業界では世界セメント・コンクリート協会(GCCA)が統一的な算定方法を検討してきていることについては一定の評価を示した。しかし団体間での算定方法に差異がみられることを課題とした。国際エネルギー機関(IEA)、IDDI(産業高度脱炭素化イニシアチブ)、EU等の国際機関による収斂作業についても注視する姿勢を示した。
また現状をOECDとして分析した結果、鉄鋼については、過去20年で平均原単位排出量が10%低下。高炉から電炉へのシフト等もすでに図られており、短期的な削減が可能と見立てられた。一方セメントについては、現行技術では削減余地が限定的で、イノベーションや炭素回収・利用・貯留(CCUS)等が不可欠との見立てとなった。
OECDは今回、信頼性ある製品カーボンフットプリント指標の整備が低炭素製品市場の形成を支えると強調。各国の政策当局と産業界に対し、統一的かつ透明性の高い算定・検証基盤の構築を呼びかけた。
【参照ページ】Carbon intensity metrics in the steel and cement sectors of Climate Club members
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