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【国際】世界の原発新設コストが高騰。新設見通し低く補完電源に。世界原発報告書

 国際的な研究者・専門家は9月22日、国際的な原子力発電産業の動向を調査した年次報告書「世界原子力産業状況報告書(WNISR)」の2025年版を発行した。中国を除いた原子力発電の発電量は2006年比で14%減少しており、原子力発電の状況は依然として険しい道筋にあると伝えた。

 世界原子力産業状況報告書は、原子力発電に関して推進派と反対派から距離を置き中立的な立場から市場を分析。執筆には、米国、カナダ、フランス、ドイツ、日本、オーストリア、リトアニア、メキシコ、南アフリカ、台湾、トルコに拠点を置く18人が参加した。内容は589ページにわたっている。

 特に今回は、中国、フランス、日本、ロシア、韓国、ウクライナ、英国、米国、台湾の状況に焦点を当てた。また、小型モジュール炉(SMR)の開発状況については専用の章を設けた。

 世界の原子力発電量は、2024年に2,677TWhに達し、18年ぶりに過去最高を更新。増加分の大半は中国によるもので、中国を除いた発電量は2006年比で14%減少している。

 また稼働中の原子炉は31カ国で408基。ピークだった2002年の438基を大きく下回っている。2024年の稼働中の原子力発電設備容量は369.4GWで、2025年半ばまでに368.7GWへと減少した。新規建設では、2024年には7基が竣工したが、そのうち6基が中国。一方、4基が廃炉となった。

 国別の状況では、中国の原子力発電量は2024年に3.7%増えたが、総発電量は3年連続で減少傾向にあり4.5%。太陽光発電と風力発電の発電量は原子力発電の4倍となっている。原子力発電設備容量は2024年に3.5GW増加したが、太陽光発電容量は278GW増。2010年以降、太陽光発電量は800倍以上、風力発電量は20倍に対し、原子力発電量は6倍にとどまっている。

 フランスでは、原子力発電量は2024年に13%増加し、362TWhとなったが、10年前に標準とされた400TWhを大幅に下回っている。原子力発電は国内総発電量の67%を占め、世界最高の割合となったが、最終エネルギー消費量に占める割合は18%未満だった。フラマンヴィルEPRは、計画より12年遅れで2024年12月に運転を開始したが、建設費用は256億米ドルに達し、当初見積もりの43億米ドルから6倍にも膨れ上がった。新規建設計画の決定は確定済み。コスト見積もりは年末までに更新され、最初の予定稼働開始は2038年に延期。現在、国内で建設中の原子炉はない状態。

 米国では、2024年の原子力発電量は782TWhへと0.9%増。商業用電力供給に占める原子力の割合は0.4ポイント減の18.2%。2025年半ば時点で、米国の原子力発電所群は94基と依然として世界最大規模にあるが、平均稼働年数43.7年と老朽化も顕著。大小さまざまな原子力発電所建設再開に向けた数多くの構想、計画、プロジェクト、資金調達スキーム、大統領令が存在するが、実際の進展はほとんど見られないと評価した。フランスと同様に米国でも国内では建設中の原子炉はない状態。

 韓国は、世界第5位の原子力発電設備容量・発電量があり、2025年5月には、中国とロシア以外で初めて、2019年12月以降の新設を開始。但し、李在明政権で国内で原子力発電が拡大されるかの見通しは不透明とした。

 現在、原子力発電所を建設している新興国はバングラデシュ、エジプト、トルコの3カ国のみで、いずれもロシアの技術と資金に依存している状況。ロシアは27基の建設を進め、そのうち20基が国外案件。

 SMRに関しては、期待感ばかりが高まっている段階と評価。SMR分野に投資も分散して薄く広がっており、ほとんどの設計は認可取得・建設可能な段階まで開発するための十分な資源を欠いており、期待に応えられそうな状態には成熟していないと見立てた。

 再生可能エネルギーとの比較では、再生可能エネルギーの伸長は目覚ましく、2024年の世界の再生可能エネルギー(大型水力除く)への投資額は7,280億米ドルに達し、原子力の21倍。導入量も風力・太陽光で565GWと、原子力の純増5.4GWを圧倒していると評価。電力供給においても、EUでは風力発電と太陽光発電のシェアが28%に達し、原子力の23%を上回っていることを強調した。米テキサス州でも、バッテリー容量が10GWに達し、2025年には倍増が見込まれる等、蓄電技術が系統運用の常識を変えつつあると評価した。

 原子力発電では、発電所建設のコストが膨れ上がっており、欧米の大型原発建設では「長期化とコスト超過が常態化」。一方、中国では「技術の内製化と人材供給の充実により比較的低コストを維持」しているものの、中国でも高額な初期投資が不可避であり、発電単価の低さは政府による価格設定や優先給電枠など制度的支援によるところが大きいと分析した。そのため今後の原子力発電の位置づけは、主力電源ではなく、「補完的かつ限定的」な役割に収斂する可能性が高いとした。

【参照ページ】World Nuclear Industry Status Report 2025

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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