
米ドナルド・トランプ大統領は6月5日、国家安全保障分野におけるAIに関する「国家安全保障大統領覚書11」に署名した。米国の戦闘員や情報専門家に最先端かつ安全で信頼性の高いAIシステムを提供すると同時に、その責任ある利用を確保するための新たな枠組を確立した。
同覚書は、国家安全保障機関に対し、急増する需要に応えるためAIの導入を加速させ、任務遂行に適した最高の商用およびオープンソース技術を適応させ、配備されるシステムが堅牢かつ操作・制御可能であることを保証し、憲法に基づく指揮系統の下で明確な責任の所在を維持するよう指示するもの。
導入については、国家安全保障機関は産業界と深く積極的なパートナーシップを維持し、最先端のモデルを遅滞なく国家安全保障の専門家に広く利用可能にし、技術的優位性を確保することを重視。複数の事業者が開発したAIを積極的に活用する方針を掲げた。
その上で、選定されたAI技術が、セキュリティ上の制約や任務上の制約により商用ソリューションの利用が適切でない場合、行政部門及び機関は、商用または内部でカスタマイズされたAI技術を導入するか、内部でAI技術を開発することができるとした。
さらに、いかなる事業者も、米国の将校が任務遂行のために依存するAIシステムについて、連邦政府の認識または承認なしに、その使用を阻止し、無効化または性能を低下させ、あるいは実質的に改変してはならないと規定した。同時に、国家安全保障機関に対し、言論の自由の検閲、イデオロギー的な偏見の組み込み、無許可または違法な監視活動のために、米国のAI技術を開発または使用することを禁じた。米国の市民的自由、米国合衆国憲法、米国市民のプライバシーを保護することも命じた。
連邦政府機関への具体的な指示では、国防長官、国家情報長官、情報コミュニティ(IC)を構成する各機関の長に対し、120日以内に、複数のベンダーから最先端のAIモデルを迅速に導入し、一般市民が利用可能なものと国家安全保障関係者が利用可能なものとの間の能力格差を解消できるよう、調達プロセスを見直し、更新するよう指示した。
続いて、科学技術担当大統領補佐官と行政予算管理局長に対し、120日以内に、国防長官、エネルギー長官、国家情報長官、国家安全保障局長と調整し、必要に応じて他の機関と協議の上、国家安全保障体制のすべての構成要素が高度な計算リソースに適切にアクセスできるよう確保するためのロードマップを共同で策定するよう指示した。同ロードマップには、高度なセキュリティ要件を備えた高度なAI計算施設の稼働と、国家安全保障上のユースケース向けのAI試験場の設立も盛り込まれる。
さらに、国防長官、エネルギー長官、国家情報長官、国家安全保障局長に対し、120日以内に、AIセキュリティセンターを通じ、科学技術担当大統領補佐官と協議の上、悪意のある「蒸留攻撃(正規の使い方で能力を吸い出す)」等から、米国の最先端AI技術を保護するために、協力に意欲のある民間企業とのパートナーシップを構築するよう指示した。
国防強化では、人事管理局長に対し、120日以内に、国土安全保障長官と調整し、非政府系AI人材からなる「AI国家安全保障戦略予備軍」を設立する検討を開始するよう指示。国家情報長官、国防長官、国家安全保障局長に対し、120日以内に、AIリスク管理・保証に関する共同戦略と国家安全保障機関向けのAIセキュリティ基本実践を定める実施指針を策定するよう指示した。国家情報長官と国防長官に対しては、120日以内に、「国家安全保障のためのAIカリキュラム」を策定
するよう指示した。国家安全保障システム委員会と行政管理予算局長に対しては、国家安全保障システムにおけるAI利用のガバナンスに関する適切な方針を発出
するよう指示した。
【参照ページ】Fact Sheet: President Donald J. Trump Signs Historic Directive on AI in the National Security Enterprise
【参照ページ】NATIONAL SECURITY PRESIDENTIAL MEMORANDUM/NSPM-11
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