サステナビリティ報告に関する国際ガイドラインのGRIは5月29日、今から10年後となる2025年のサステナビリティ報告のトレンドについてまとめたリサーチペーパー、"Sustainability and Reporting Trends in 2025 –Preparing for the Future"を公表した。
GRIの分析によると、将来は新たなデータ技術の進歩により報告の透明性は大幅に向上し、報告は完全にデジタル化され、年次報告の代わりにリアルタイムでの情報開示が求められるようになるとしている。
ペーパーでは、ステークホルダーらはこれまで以上にデータにアクセスできるようになることで、企業らは気候変動や人権といった課題に関するコミュニケーションをリアルタイムで意思決定プロセスに整合させていく必要が出てくるとしている。これは、ステークホルダーらがより力を持ち、企業のガバナンスや企業戦略により深く関わるようになることを意味する。
同ペーパー内で挙げられている2025年の主なトレンドは下記の通りだ。
- 企業はこれまで以上に説明責任が求められるようになる
- 企業の意思決定者はサステナビリティへの考慮がより深く求められるようになる
- テクノロジーの発達により、企業とステークホルダーはよりデータにアクセス、照合、分析することができるようになる
- テクノロジーの発達により、企業の事業運営、報告における統合性は大きく高まる
- まだ規制などがない課題などに対処する際は、倫理的価値基準やレピュテーション、リスク管理が意思決定を左右する
- 事業とインパクトとの相関関係を明らかにする新たな指標が生まれる
- 規制への対応と自主的なプロセスの双方から報告が実践される
- サステナビリティデータはデジタルになる
GRIで最高経営責任者を務めるMichael Meehan氏は「サステナビリティパフォーマンスの測定や報告活動はこの10年で劇的に増えたが、まだ十分ではない。大きく進歩はしたものの、我々は市場がより良いビジネスやポリシーを構築できるようにする必要がある。GRIのグローバルコミュニティとともに、我々は先頭に立ってサステナビリティ報告の次のフェーズを模索している」と付け加えた。
ビッグデータをはじめとするテクノロジーの活用により、サステナビリティ報告の形も今後大きく変化していくことが予想される。リアルタイムによる情報開示により透明性が向上するという見方がある一方で、リアルタイム性が長期ではなく短期重視の意思決定を助長しかねないといった懸念もある。テクノロジーの発達により企業とステークホルダーの関係性やコミュニケーションの形が変わっていく中で、どのような報告があるべき姿なのか、企業自身も自主的に考えていく必要がある。
【レポートダウンロード】Sustainability and Reporting Trends in 2025 –Preparing for the Future
【参照リリース】GRI predicts dynamic results oriented real-time reporting by 2025
【団体サイト】GRI
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