金融情報提供世界大手トムソン・ロイターは6月27日、「Global 500 Greenhouse Gas Performance 2010-2015: 2016 Report on Trends」と題した最新レポートを発表、フォーチュン・グローバル500の温室効果ガス排出量データを公開した。報告書はサステナビリティ分野のコンサルティングファーム、BSD Consultingとの共同作成。同レポートは、グローバル500がグローバルのコンセンサスに合わせて排出量を管理しつつも、ビジネス拡大を成功させていることを明らかにした初めての報告書となった。
Global 500は、世界のGDPのおよそ28%を占めている一方、過去5年間の世界における排出量に対し10%を排出するに留まっている。今回の大きな発見は、経済的パフォーマンスと排出量は分けて考えることができるということ。グローバル500の4年間の売上は約5%成長しているが、排出量は1%の増加で抑制されている。これは持続可能なビジネスの成長に一歩踏み込んだ結果となった。
トムソン・ロイターのTim Nixonサステナビリティ担当マネジメント・ディレクターは、「我々の最新のレポートでは、グローバル500の企業が国際的な科学者団体の提案に沿い、温室効果ガス排出量を抑制しているという肯定的な流れが確認できた。昨年のCOP21を受け、持続可能なビジネスの成長は多くの組織にとって最優先事項であり、中心的課題である。環境への影響を制限することとは、もはや正しいことを実践するだけにとどまらない。リスクを緩和し、売上や純利益を拡大することが持続可能なビジネスの成長であるということを組織は認識している。」とコメントを寄せている。
レポートで使用されたデータは企業から報告された温室効果ガス排出量と、大手ESGデータ提供者であるトムソン・ロイター・ESGリサーチデータから推測されたものを集約して作成されている。後者のデータは、上場企業5,000社から標準化された客観的で質量ともに優良なデータとなっているという。
レポートを共同作成したBSDのJohn Moorhead気候変動対策部門長は、「Global500企業の排出量の抑制が、売上拡大のなかで実現されているという事実を発見した。しかし、多くの大量排出企業はまだこうした実態に近づけていない。2℃達成に向けた道のりにおいて、グローバル500が全体の排出に占める割合は6.6%にまで低減したものの、まだギャップは大きい。カーボン・プライシングや技術およびビジネスモデルにおける革新、責任投資がこのギャップを埋めるカギとなる。」と語る。
同レポートは、経済成長のためには温室効果ガスの排出はやむを得ない、という前提や考えを覆す。世界のGDPの4分の1以上を占めるグローバル大手企業の利益拡大は、気候変動リスクを低減しながら実現可能であるという裏付けとなった。これは第一に各企業、各部門による大小の努力の集積結果であり、たゆまぬ改善を継続している操業現場に改めて敬意を示したい。
【参照ページ】Thomson Reuters Latest Greenhouse Gas Emissions Report Shows Indications of Sustainable Growth within Global 500
【企業サイト】トムソン・ロイター
【関連サイト】GLOBAL 500 GREENHOUSE GASES PERFORMANCE 2010-2015 2016 REPORT ON TRENDS
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