ヨハネスブルク宣言とは、持続可能な開発に向けた各国首脳の政治的な意思を示す文書です。環境や貧困などの課題を解決するために、各国が清浄な水・衛生・エネルギー・食糧安全保障に関するアクセスの改善や、ODAの達成、ガバナンスの強化などに取り組むことを宣言しています。
この宣言は2002年9月2日から4日にかけて南アフリカ共和国・ヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議(サミット)」で採択されました。2002年当時は、持続可能な開発のための行動計画「アジェンダ21」の採択と気候変動枠組み条約の締結が行われたリオデジャネイロサミットから10年が経過していました。そして、このヨハネスブルグサミットは、これまでの取り組みを評価しながら、時代に沿った新しい行動指針に向けて取り組みを強化するために開かれました。そこで討議されたトピックが同宣言内で再確認されています。そして、この宣言には付随して「実施計画」も同時に採択されています。それらの計画の中には、(1)京都議定書の早期発効、(2)資金・貿易に関する合意の早期実施、(3)衛生面の向上、(4)再生可能エネルギーの導入拡大、(5)この10年を持続可能な開発のための教育に充てるといったものが含まれていました。その他にも、自主的なパートナーシップ・イニシアチブに基づく200以上の具体的なプロジェクトが登録されました。
また、この採択が行われた首脳会議では、持続可能な開発が国際的課題の中心要因であることが再確認されました。この首脳会議には、幅広い分野から専門家や当事者が集められ、のべ2万2000人以上の人が参加しました。その中には104か国の国家元首や190を超える国の代表、そして8000人以上のNGOや企業からの参加者が含まれており、会議と並行して行われた各種行事にも同数の人々が参加しました。日本からは小泉首相(当時)が参加し、アフリカのガーナで医学研究に捧げた野口英世を紹介し、教育の重要性を訴えました。
このように大規模に行われたヨハネスブルグ宣言ですが、ストッククホルムで開かれた国連人間環境会議(1972)やリオデジャネイロ国連環境開発会議(1992)と比較した際に、成果が明確でないと批判されています。しかしながら、21世紀初頭から提唱されたMDGs(ミレニアル開発目標)、地球温暖化問題などの国際的な問題に対する取り組みを反省し、諸課題を再確認することが出来たという点では一定の評価がなされています。
参考文献
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