欧州議会は1月17日、EU域内企業がサイバー監視ソフトウェアと人権侵害に関与する恐れのある全ての商品の輸出を制限するEU法案を、賛成571、反対29、棄権29で可決した。現在、欧州域内企業が開発・販売しているサイバー監視ソフトウェアが、エジプトやバーレーン等の中東諸国で市民の監視に使われていると言われており、欧州議会はプライバシーという人権の侵害との見方を支持した。今後、同ルール案は、EU上院に相当するEU理事会での議論に移る。
EUでは、市民生活に享受するとともに、大量破壊兵器、テロリスト攻撃、人権侵害にも資する製品や技術を「dual-use items」と呼び、輸出をEU当局の管理下に置くルールが2009年から導入されている。今回の法案は、市民のサイバー監視技術を「人権侵害」と見なし、同ルールの適用対象に加えるという内容。違反した企業に対して欧州委員会が制裁を課す権利も付与する。
同法が成立すると大きな影響を受ける企業は、英BAE Systems等。同社は、監視システムを、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、オマーン、モロッコ、アルジェリア等の中東諸国に販売し、「アラブの春」と呼ばれる市民抵抗運動への監視に使用しているという。
グーグルやマイクロソフトも加盟する欧州業界団体DigitalEuropeは、同法案が定義する「人権侵害」が広すぎる概念だと非難。一方、マルムストローム欧州委員(貿易担当)は、「当局から許認可を受けた商品は輸出の追い風になるだろう」と反論している。
【参照ページ】Europe should not help dictators spy on their own citizens
【法案概要】Briefing EU Legislation in Progress
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