金融世界大手仏BNPパリバは5月4日、生物多様性保全に関する新たなコミットメントを発表した。同社はすでに気候変動や森林保全の分野でアクションを打ち出しているが、生物多様性の観点からも投融資を通じたアクションを加速させる。
BNPパリバの今回のコミットメントは、同社が2018年に加盟したフランス生物多様性イニシアチブ「Act4nature internatinal」の活動がベースとなっている。Act4nature internatinalは、仏環境企業団体Entreprises pour l'Environnement(EpE)が中心となり、企業、NGO、研究機関が集うフランスのマルチステークホルダー型イニシアチブ。2018年発足以来、企業からの自発的な生物多様性コミットメントを促しており、すでに150社のCEOから期限を設けた具体的なコミットメントが発表。2021年にはさらに40社からのコミットメント発表が期待されている。Act4nature internatinalは、国際的な生態系イニシアチブ「Business for Nature」の活動に関するフランス支部の役割も担っている。
【参考】【国際】世界経済フォーラムや環境NGO、自然生態系回復でBusiness for Nature結成。企業が率先アクション(2019年7月24日)
BNPは今回、Act4nature internatinalに対して発表したコミットメントを大幅に引き上げた形。まず、世界132カ国参加の「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」が2019年に発表した報告書を、マネジメントの基礎データに据え、主に5つのアクションを設定した。
- 2025年までに、全投融資先企業を生物多様性基準を用いて評価
- 懸念の大きい国で活動している投融資先のコモディティ関連企業に対し、森林破壊撲滅を実証するよう対話
- 投融資先企業が生物多様性を考慮したビジネスモデルに転換することを支援。同社としても2025年までに陸上での生物多様性保護の分野に30億ユーロ(約4,000億円)のファイナンスを実施
- 2025年までに生態系保護に資するスタートアップに対し2.5億ユーロ(約330億円)の直接投資を実行
- グループ全従業員19万人に生態系やサステナブルファイナンスに関する研修を実施
【参考】【国際】人間活動により動植物100万種が絶滅危機リスク。気候変動も原因。国際機関IPBES報告(2019年5月14日)
今回の発表に関連し、同社運用子会社BNPパリバ・アセット・マネジメントは、企業の生物多様性インパクトに関する情報開示の研究を継続。2022年までに投資ポートフォリオを「水フットプリント」及び「森林フットプリント」の観点から測定するためのロードマップも、近々発表する。
さらに同社は2021年、自然資本の保護・保全のために5,500万ユーロ(約73億円)を直接的に投じる。
【参照ページ】BNP Paribas strengthens its commitment to preserving biodiversity
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