英国保険協会(ABI)は7月7日、保険業界での「気候変動ロードマップ」を発表し、2035年までに0.9兆ポンド(約134兆円)を英国のグリーンインフラに対して投じるポテンシャルがあると表明した。英保険業界として、積極的に気候変動に対処していく方針を掲げた。
今回の示した気候変動ロードマップでは、まず、2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)までの具体的なマイルストーンを設定している。
- 2025年までに、企業はスコープ1とスコープ2でカーボンニュートラルを実現する具体的な計画を策定。進捗を報告
- 2030年までに、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の暫定目標である二酸化炭素排出量50%削減を達成
- 2050年までに、パリ協定に沿って、事業活動を完全にカーボンニュートラルにする
また英国政府が掲げる2050年カーボンニュートラル目標の達成に向けては、英国の気候変動委員会(CCC)が第6次カーボン・バジェットの中で示しているように、2021年から2035年までに合計2.7兆ポンド(約410兆円)の投資が必要と指摘した。そのうち、ABI加盟企業が、最大0.9兆ポンドを投資する機会があるとするボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査を紹介。3分の1をABIとして担う準備があることを伝えた。但し、ABIが投資機会を活かすためには、大幅な規制・市場改革が必要と主張した。
具体的な必要政策としては、5つを提示した。
- 保険加入者が、真にサステナブルな投資手法を理解し選択できるようにするための専門用語の整理
- 保険金請求のタイミングで加入者がとれるサステナブルな選択肢を提示。例えば、自動車故障時にEVへの買換案内等
- 修理やリサイクルを促すため、自然災害で破損した財の再生活用方法を検討
- 病院や医療機関での使い捨てプラスチックや持続可能でない物品の代替品開発
- 電気自動車の中古市場を奨励し、バッテリーの再利用・リサイクルの手法確立
英保険業界は、運用資産の総額が1.6兆ポンド(約242兆円)あり、毎日4,600万ポンド(約70億円)の保険金を処理している。従業員は31万人。今回のロードマップ策定では、業界大手10社が主導した。参加したのは、ロイズ・バンキング・グループ、M&G,Aviva、チューリッヒ保険、ロイヤル・ロンドン、BUPA、Pension Insurance Corporation、Pheonix、Rothesay。
【参照ページ】The UK’s insurance and long-term savings industry could potentially contribute one third of the investment needed to meet the UK’s Net Zero target
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら