経済協力開発機構(OECD)は11月16日、先進国から発展途上国への気候ファイナンスが2021年に単年で896億米ドル(約13兆円)に達したと発表した。前年比で8%増加した。
先進国は、2009年の国連気候変動枠組条約第15回モントリオール締約国会議(COP15)で合意された「先進国全体で2020年までに官民あわせて年間1,000億米ドル」という目標には依然として達していない。但し、OECDは今回、2022年の推計で1,000億米ドルを突破している可能性が高いとも伝えた。
OECDは2021年の国連気候変動枠組条約第26回グラスゴー締約国会議(COP26)の前に、2021年から2025年までの先進国から発展途上国への気候ファイナンスの将来シナリオを発表。896億米ドルという実績は、上限シナリオをやや上回るペースとなっており、当初の予測よりは状況がよい。
(出所)OECD
2016年から2021年の期間、中低所得国(LMICs)と高中所得国(UMICs)を対象とする気候ファイナンスの割合は横ばいだったが、低所得国(LICs)を対象とする割合は2016年の4%から2021年には10%に増加。小島嶼開発途上国(SIDS)を対象とする気候変動資金の割合も、2016年の2%から2021年には4%へと増加してきている。後発発展途上国(LDC)を対象とする割合も、2016年の12%から2020年には25%へと徐々に増加してきたが、2021年には20%へと減少した。ていると考えられる。
公的なファイナンスは、2013年から2021年の間に380億米ドルから731億米ドルへとほぼ倍増。2021年の総予算896億米ドルの大部分を占めている。とりわけ、多国間の公的気候ファイナンスが最も増加し、2013年以降2倍以上に増加し、2019年以降は二国間の公的気候変動資金を抜いた。民間気候ファイナンスは、データ収集が始まった2016年以降の状況で、2021年には144億米ドルとなり、全体の16%を占める程度。但し、2017年以降、全体的に停滞している。
悪材料では、2020年に大きな伸びが報告された適応ファイナンスが、2021年には14%減少し、40億米ドルとなり、気候ファイナンス全体に占める適応の割合が34%から27%に落ち込んだ。OCEDは今回、民間ファイナンスと適応ファイナンスの2つが大きな課題を抱えていると指摘した。
OECDは11月17日には、51ヶ国の中央政府での気候変動関連政策の伸び率も報告。2010年から順調に伸びてきた政策数が、2022年には1%増と停滞した。直近のエネルギー価格の高騰が足を引っ張っているとみられている。
(出所)OECD
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