6月17日にアムステルダムで行われたICGN(International Corporate Governance Network:国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク)の年次総会にて、「企業報告ダイアログ(The Corporate Reporting Dialogue、以下CRD)が正式に活動を開始すると発表された。
CRDは統合報告に関する国際フレームワークのIIRC(International Integrated Reporting Council)が提唱するイニシアティブで、異なる企業報告フレームワークの整合性や一貫性、比較しやすさを高めることで企業、投資家双方の負担を軽減し、今後の企業報告におけるグローバルの包括的な展望を示すことを目指している。
CRDにはCDPやGRI、ISO、SASBなど、企業報告の分野において国際的に大きな影響力を持っている組織が多数参加している。
CRDの議長を務めるHuguette Labelle氏は、「企業報告をめぐる世界は変化を迎えている。そのあまりの長さゆえに、これまでの企業報告は断片化され、戦略的な価値創造プロセスから完全に分断されてしまっていた。しかし、孤立した変化では、現代の企業や投資慣行の複雑さを反映するには不十分だ。 CRDは企業報告を読み手に合わせた形に新しく作り直し、企業とその主要なステークホルダーの関係の再構築に役立つ、より一貫性、効率性の高いものにするためのコラボレーションだ。このイニシアティブの議長を務めることはとても名誉なことだ」と語った。
CRDでは、異なる企業報告の方向性や内容、現在開発中の報告の枠組み、基準、そして関連要求事項に整合性をもたらすような、より実用的な方法の開発を目指している。
今後、CRDの活動の進展に伴いより広範な企業報告に関する展望が共有される予定だが、当初は様々な企業報告フレームワーク、基準同士のつながりや統合報告との関連性にスポットが当てられる予定だ。
CRDへの参加組織は以下の通り。
- CDP
- Climate Disclosure Standards Board (CDSB)
- Financial Accounting Standards Board (FASB)
- Global Reporting Initiative (GRI)
- International Accounting Standards Board (IASB)
- International Integrated Reporting Council (IIRC)
- International Public Sector Accounting Standards Board (IPSASB)
- International Organization for Standardization (ISO)
- Sustainability Accounting Standards Board (SASB)
現在企業報告の分野においては統合報告に関する国際フレームワークのIIRCをはじめ、上記のように複数の異なる報告基準やガイドラインが並存しているのが現状だ。こうした中で今後どの報告フレームワークが本流となっていくのか、グローバルの動向が気になっているという企業報告担当者の方も多いのではないだろうか。
その意味で、今回のCRDの活動開始はグローバルな企業報告の在り方を前進させる上で大きな一歩だといえる。今後、現在の状況がどのように変化し、最終的にどのような包括的な枠組みが提示されるのか、これからの動きに注目していきたい。
【参考サイト】IIRC
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