【国際】波紋広がるフォルクスワーゲン不正問題、EPAは規制強化、投資家は告訴へ 2015/09/27 最新ニュース

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 独自動車大手、フォルクスワーゲングループ(以下、VX)の排ガス規制をめぐる不正問題が、消費者だけではなく各国の規制当局や機関投資家なども含めて世界中で波紋を呼んでいる。

 スキャンダルの発端は、EPA(米環境保護庁)およびCARB(California Air Resource Board)が9月18日、VXがEPAの排ガス規制を満たすために一部のディーゼル・エンジン車に不正なソフトウェアを搭載し、Clean Air Act(大気浄化法)に違反していると発表したところから始まった。

 EPAによると、VXはディーゼル車の一部のエンジンに排ガス試験のときだけ起動する不正なソフトウェアを搭載し、EPAの定める排ガス基準値を違法な形でクリアしていたという。これらの車は通常走行時には基準値の40倍ものNOx(窒素酸化物)を排出していたとのことだ。対象となるのは2009年から2015年までに販売された車両で、Jetta、Audi A3、Golf、Passatなど人気車種が含まれる。

 EPAおよびCARBはICCT(International Council on Clean Transportation)の協力のもとでウェストバージニア大学の研究者らと共に分析を実施、同ソフトウェアの存在を突き止めた。9月に入ってからVXに説明を求めたところ、VXはソフトウェアの搭載を認めたという。

 EPAは、米国では2008年以降に販売された同ソフトウェアを搭載した車両は約482,000万台に上るとしているが、VXは世界全体で少なくとも1,100万台の車両に影響が及ぶと発表した。そして24日にはドイツの運輸相Dobrindt氏が、VX側からヨーロッパにおいても同様の不正が行われていたと報告があったことを公表し、さらに波紋は広がった。既にドイツをはじめ英国政府なども車両の調査に乗り出している。

 なお、一連の不正の発覚を受けて、VXのCEOを務めていたMartin Winterkorn氏は23日に引責辞任を公表していたが、3日後の26日には傘下のポルシェで会長を務めるMatthias Müller氏が後任のCEOとなることを発表した。VXは新体制に合わせて役員陣も一新し、原因の究明及び再発防止に努めるとしているが、各方面からガバナンス不全および欠如を問われることは必至だ。

 また、不正の発覚は株価にも大きく影響し、投資家からの批判も強まっている。VXは米規制当局から最大180億米ドルの罰金を課せられる可能性に加え、22日には1,100万台のリコールに備えて65億ユーロの準備金を用意すると報じたことなどで同社の株価は急落し、不正発覚前と比較して一時4割以上も下落、最大330億ユーロもの時価総額を失った。VXだけではなく他の自動車関連株や欧州株も軒並み影響を受けている。

 この損失を受け、既にVXのドイツや米国の機関投資家らは同社を株価の不当操作として告訴する準備を進めている。ロイターは26日、米ミシガン州セントクレアショアズ市の警察官・消防士年金基金が同社を相手取りバージニア州の連邦地裁に提訴したと報じている。同社はDow Jones Sustainability Indexからも除外される可能性も高い。

 さらにEPAは25日、不正の再発防止に向けて排ガス試験を強化すると発表した。全ての自動車メーカーを対象に調査を実施し、今後は通常走行時のNOx排出も確認の対象となる予定だ。

 VXの今回のスキャンダルは、環境に配慮された車というブランドを信じていた消費者からの信頼失墜、基準値を大幅に上回る汚染物質を排出する車両を大量に市場へ流出させたことによる環境への実質的な悪影響、それを5年以上に渡り続けてきたというガバナンス不全、株価下落により投資家が被った損失、各国の規制当局の対応など、あらゆるステークホルダーを巻き込んだ一大事となっている。

 これを機にドイツを代表する自動車メーカーのVXが失墜すれば、ドイツ経済はもちろん、ドイツ経済に支えられているEU経済にも多大な影響を及ぼす可能性が高い。改めて企業のサステナビリティ戦略および活動、そして両者の整合性の重要性を痛感させられる出来事だ。

【企業サイト】Volkswagen
【参照リリース】フォルクスワーゲンについて お客様各位
【参照リリース】EPA, California Notify Volkswagen of Clean Air Act Violation
【参照リリース】EPA Update on Recent Volkswagen Announcement

(※写真提供:Sergey Kohl / Shutterstock.com

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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