責任ある飲酒国際同盟(IARD)は7月26日、2025年までにアルコール関連の害を1割削減する目標に向けた取り組みで、2015年の進捗をまとめた報告書「2015 Progress Report」を公表した。同報告書の発表は3年目。持続可能な開発目標(SDGs)が採択された2015年以来初となった。IARDには、世界アルコール飲料大手のABインベブ、SABミラー、ハイネケン、ディアジオの他、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングスなど世界12社が加盟している。
IARD加盟企業は2012年10月、アルコールの有害な飲み方を削減するための共同コミットメント宣言。その中で、「有害な飲み方」として焦点を当てたのは、法定購買年齢(LPA:Legal Purchase Age)以下のいわゆる未成年飲酒と飲酒運転だ。共同コミットメントでは、これらの削減と正しいアルコール飲料の嗜み方を推進するために2016年までの5年間をかけて共同プログラムを展開していくことを決めた。今回その4年目となった2015年の取組実績を発表した形だ。報告書のデータ収集はアクセンチュア・ストラテジーが開発した主要業績評価指標を基ととし、報告データはKPMGサステナビリティが第三者保証を行った。
2015年の実績
未成年者飲酒の低減
未成年者飲酒の分野では、加盟企業12社は、取組の鍵となる小売業界との対話を中心に合計100万人以上の関係者との連携を実施。また、未成年者飲酒撲滅に向けた重要な指導者である親と教育者への教育として年間で3,000人近くに対して教育プログラムを実施した。
飲酒運転の低減
新たにカンボジア、ドミニカ共和国、ナミビア、南アフリカの4カ国で飲酒運転対策の試験プログラムを開始。これで、プログラム実施中の国は9か国とった。また、99ヶ国で合計345回の飲酒運転削減プログラムを展開。
マーケティング行動基準の強化と拡大
IARDはアルコール飲料の適切な広告宣伝を行うために「マーケティング行動基準(Marketing codes of practice)」を定めているが、その中で重要な内容を占めるのが「印刷物、放送、デジタルメディアでの広告活動において、閲覧者の最低70%が法定購買年齢を上回っているものに限定する"70/30ルール"の遵守」。この遵守状況をチェックするには、広告宣伝データの収集が不可欠だが、データ収集が困難な途上国などで遵守状況をチェックする広告掲載評価の新たな方法を開始した。対象国となったケニア、ウガンダ、ナイジェリアの3ヶ国で、70/30ルールの遵守が確認された。
消費者への情報提供と責任ある製品イノベーション
2015年5月にアルコール飲料の正しい嗜み方を伝える情報ウェブサイト「Responsible Drinking」を開設。
小売業者に対する有害な飲酒削減支援の呼びかけ
2015年11月に小売業界や飲食店向けに「アルコール飲料の責任ある販売に関する指針」を制定。指針では、小売業界や飲食店に対し、法定購入年齢の遵守、飲食店での大量飲酒や酒浸りの最小化、飲酒後の安全な交通手段を確保することによる交通安全の推進、安全な小売環境の推進を定めた。世界中で責任ある酒類販売を促進するための基準を定めたものです。これにより世界75ヶ国で251の「責任ある販売イニシアチブ」が制定された。
【参照ページ】World’s Leading Producers of Beer, Wine and Spirits Gain Momentum in Their Efforts to Address Alcohol-Related Harm
【報告書】Progress Report
【機関サイト】International Alliance for Responsible Drinking
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