【日本】SDGsの好事例。ヤマト運輸報道で注目集まる宅配ボックス。パナソニックが新モデルを投入 2017/03/12 最新ニュース

 運送事業の苦境が一斉にクローズアップされるようになってきた。今月始め宅配大手ヤマト運輸が27年ぶりに運送費を全面的に値上げする検討に入ったことが伝わると、続いて日本郵便や佐川急便も対象を大手法人顧客に絞りつつも値上げの検討に入ったと報じられた。苦境の原因は、Eコマースの普及で取り扱う荷物が急増しているのと同時に、人手不足からくるドライバーの人件費高騰により、ドライバーの人手が獲得できなくなっていることにある。根本的な解決のためには、ドライバー確保を道を探る他ないが、もうひとつ取り沙汰されているのが不在再配達の多さだ。

 不在再配達が増えると、運送会社の負担は大きく増える。ドライバーは一つの荷物のために何度も担当エリアを回らなければならず、また不在再配達をしてもしなくても運送料金は一緒だ。売上は変わらないのに、人件費と燃費だけがどんどんかかることになる。統計によって多少数は異なるが、不在配達が全体に占める割合は25%とも言われており、この分だけ運送会社を苦しめていることになる。そして運送会社が苦しむシワ寄せは、料金値上げや配達時間指定の中止、配達可能時間の短縮など、消費者に来ることになる。

 この不在再配達の解決策として、今注目されているのが宅配ボックスだ。Sustainable Japanでも昨年11月に「ヤマト運輸が展開する「客貨混載」。温室効果ガス削減と地域貢献の二大効果」の中で、ヤマト運輸と宅配ボックスの可能性について内容をまとめた解説を行った。不在時にも荷物を届けられる宅配ボックスは、ドライバーによってはありがたい存在であり、同時に受け取る人にとっても同様にありがたい。いちいち電話して再配達を依頼し、その時間に家にいなければいけない面倒臭さから解放されることのメリットを、味わったことのある人も多いだろう。この宅配ボックス事業で、存在感を見せ始めているのがパナソニックだ。

 パナソニックは昨年11月から、日本郵便、ヤマト運輸、福井県あわら市と共同で、同市が進める「働く世帯応援プロジェクト」に参画し、宅配ボックスの実証実験を行ってきた。12月の実証実験結果をまとめた中間報告では、宅配ボックス設置により再配達率が49%から8%に減少。それにより、労働時間が約65.8時間削減できるとともに、二酸化炭素排出量も約137.5kg削減できたという。宅配ボックス設置後も再配達が必要となった8%については、そのうち24%が「ボックスがいっぱいだった」、24%が「冷凍・冷蔵」、10%が「大きすぎて入らなかった」など止むを得ない理由のほか、最大の24%が「宅配業者がボックスに入れてくれなかった」という声があり、この点は宅配業者のオペレーション不徹底に帰するもののため、徹底によってさらに再配達率は減らすことができるだろう。

 さらにパナソニックは、4月3日から宅配ボックスの種類を拡充する。これまでは家庭用据え置きタイプの「COMBO」のみであったが、ポスト一体型の「COMBO-F」、住宅壁埋め込みタイプの「COMBO-Int」を投入することで、デザイン面で宅配ボックスの設置に踏み切れなかった家庭のニーズに応えるとともに、アパートなど集合住宅用に暗証番号の使い分けや入退去時管理ができる「COMBO-Maison」の販売も開始しアパート需要も取り込む。

 宅配ボックスの設置は、国連持続可能な開発目標(SDGs)の、目標8「より良い仕事と経済発展」、目標13「気候変動に対する行動」の2つに大きく貢献するものとなっている。SDGsを経営目標に掲げる日本企業も徐々に増えてきたが、これぞまさしくSDGsを経営に取り入れる好事例と言えるだろう。社会課題を解決する新規事業の機会は、社会課題を深く見つめることで見えてくる。

【参考】ヤマト運輸が展開する「客貨混載」。温室効果ガス削減と地域貢献の二大効果(2016年11月4日)

【参照ページ】「宅配ボックス実証実験」中間報告
【参照ページ】宅配ボックス「COMBO(コンボ)」 品種拡充

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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