国際NGOグローバル・ウィットネスは8月1日、パプアニューギニアで違法伐採された木材を使用したフローリング材を販売しないよう米小売業界や世界の商社に呼びかけるレポート「Stained Trade」を発表した。グローバル・ウィットネスは3年間の現地調査を実施し、パプアニューギニアを原産地とする木材の多くが、土地の強制収奪、熱帯雨林原生林の伐採を伴う違法伐採となっていることを明らかにした。それら木材は、中国の卸売業者を通じて米国の小売店に渡っているという。
同調査では、パプアニューギニアから中国経由で米国に渡るおよそ15,000kmのサプライチェーンを調べ、米国の小売企業10社や同地の木材を流通させている世界大手20社等を発表した。流通大手20社には、中国企業が10社と半数を占め、英領バージン諸島企業3社、香港3社、シンガポール1社、その他2社、の他、日本の総合商社双日も10位に挙げられた。
このレポート発表を受け、すでに行動を起こした企業も出てきている。米ホームセンターチェーン大手ホーム・デポのサプライヤーであるHome Legendは、南太平洋地域で調達するタウン材の販売を一時停止し、調達状況のレビューを実施、必要に応じて調達方針を見直すとを発表した。また、中国のNature Homeの米国子会社であるNature Flooringsは、米国向けの調達業務を、レビュー実施中は停止することを決めた。日系商社の双日もパプアニューギニアからの木材調達を一時停止したと報じられている。
パプアニューギニアは世界最大の熱帯雨林性木材の輸出国であり、2003年から2011年の間に、国土の12%にあたる500万ヘクタールを林業またはパーム油生産事業用にリースした。しかし、パプアニューギニア政府は2012年、これらのリースされた森林の90%が不法に土地の所有者から収奪されたものであることを明らかにした。また、流通経路にも問題が潜んでいる。米国政府は木材の不法伐採について厳しい法律を整備しているが、中国はそのような法律はないため、中国経由で米国や欧州に商品が流れてしまっている。
しかし、欧米諸国では近年、違法木材に対する規制が取締が強化されている。2016年には、ハードウッド・フローリング販売米最大手Lumber Liquidatorsが、ロシアで違法に伐採された木材を使った中国製のフローリングを輸入したとして、1,300万ユーロの罰金を支払った。また、2012年には、米ナッシュビルに拠点を置くGibson Guitarが、違法にマダガスカルから木材を、インドからローズウッドと黒檀を購入した件で係争となり、司法省と和解した。
【参照ページ】Stained Trade
【報告書】Stained Trade
【参照ページ】US retailers halt PNG wood imports over logging claims
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