【日本・EU】日EU経済連携協定(EPA)署名。気候変動に関する文言多数盛り込まれる 2018/07/20 最新ニュース

 日本政府と欧州委員会は7月17日、日EU経済連携協定(EPA)と政治的な協力関係を強化する日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)に署名した。EPAは、税の撤廃・削減を定めるFTA(自由貿易協定)だけでなく、知的財産の保護や投資ルールの整備なども含めた通商条約を指す。今回の署名により、世界のGDPの約3割、世界の貿易総額の約4割をカバーする巨大な自由貿易経済圏が誕生することになる。協定は2019年3月までに発効する見通し。

 今回のEPAとSPAには、気候変動に関する文言が多数盛り込まれていることはあまり知られていない。気候変動への関心の高いEUが、日EUとの経済・政治連携の中でも、あらためて気候変動対応への重視を求めたものと捉えることができる。

日EU経済連携協定(EPA)

 例えば、EPAには、第16.4条「環境に関する多数国間協定」の4項で、

両締約国は、気候変動という緊急の脅威に対処するために1992年5月9日にニューヨークで作成された気候変動に関する国際連合枠組条約(以下「気候変動枠組条約」という。)の究極的な目的を達成することの重要性及びこの目的のために貿易が果たす役割を認識する。両締約国は、気候変動枠組条約及び2015年12月12日にパリで気候変動枠組条約の締約国会議によってその第21回会合において作成されたパリ協定を効果的に実施することについての自国の約束を再確認する。両締約国は、温室効果ガスについて低排出型であり、及び気候に対して強靱である発展への移行に対する貿易の積極的な貢献を促進するために協力する。両締約国は、気候変動枠組条約の究極的な目的及びパリ協定の目的を達成することに向けて気候変動に対処するための行動をとるために協働することを約束する。

 と、パリ協定の達成に向け、低炭素に向けた貿易の積極的な貢献を促進することを約束した。

 また、第16.5条「続可能な開発に資する貿易及び投資」でも、持続可能な開発という目標に対する貿易及び投資の貢献を増進するために実施することとして、

この協定に合致する態様で、気候変動の緩和に特に関連する物品及びサービス(持続可能かつ再生可能なエネルギー並びにエネルギー効率の高い物品及びサービスに関連するもの等)の貿易及び投資を円滑にするよう努めること

 と定めた。

 さらに第16.12条「協力」でも、

国際的な気候変動に関する制度の貿易に関連する側面について協力すること(炭素の排出が少ない技術、気候に悪影響を与えない他の技術及びエネルギー効率を促進する手段について協力することを含む。)。

 を同協定内で実施できることとして定めた。

日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)

 一方SPAでは、第24条「気候変動」という形で気候変動で一条を設け、

1項

両締約者は、世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏2℃高い水準を十分に下回るものに抑え、及び世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏1.5℃高い水準までのものに制限するための努力を継続するために世界全体の温室効果ガスの排出量を緊急、大幅及び持続的に削減することの必要性を認識しつつ、温室効果ガスの人為的な排出を削減するための域内の及び国際的な行動等により、率先して気候変動及びその悪影響に対処する。両締約者は、適当な場合には、1992年5月9日にニューヨークで作成された気候変動に関する国際連合枠組条約の下で同条約の目的を達成するため、2015年12月12日にパリで作成されたパリ協定の実施に当たり、及び多数国間の法的枠組みを強化するため、協力する。また、両締約者は、他の関連する国際的な場において協力を促進するよう努める。

2項

両締約者は、また、持続可能な開発を促進するため、気候変動の分野における例えば次の相互の関心事項について情報及び最良の慣行の交換並びに適当な場合には政策の調整を促進することにより、協力を追求する。
(a)炭素の排出が少ない技術の研究及び開発、市場に基づく仕組み、短寿命の気候汚染物質の削減等の種々の措置による気候変動の緩和
(b)気候変動の悪影響への適応
(c)第三国に対する援助

という内容が盛り込まれた。

 米トランプ政権が、気候変動という文言について国際協定でも留保する中、日本はEUとの協定の中で、気候変動に対応することを真摯に誓ったこととなる。

【条約】日EU経済連携協定(和文テキスト)「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定」
【条約】日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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