公正取引委員会は3月13日、キャッシュレス時代の到来を見据え、クレジットカード取引に関する独占禁止法又は競争政策上問題となる可能性のある取引慣行等の実態調査を行った。国際ブランドは、クレジットカード発行会社に対し取引上優越した地位にある蓋然性が高く、不当な取引を強いることは「優越的地位位の濫用」という独占禁止法違反となる可能性があると警鐘を鳴らした。
調査では、クレジットカードの保有者約2,000人を対象としたインターネット調査と、国際ブランド5社、クレジットカード会社258社、販売店2,000社を対象とした書面調査を実施した。一部企業には聞き取り調査も実施した。国際ブランドについては、具体名は伏せられているが、VISA、マスターカード、アメリカン・エキスプレス(AMEX)、JCB、ダイナーズと思われる。
「優越的地位の濫用」となる可能性がある行為は、
- クレジットカード会社の意見を十分考慮することなく、契約内容の改定を一方的に行い、クレジットカード会社に不利益を与える場合
- クレジットカード会社の意見を十分考慮することなく一方的に、非接触型決済機能の搭載費用の全てを負担させるなどの行為により、クレジットカード会社に不利益を与える場合
- 競合する国際ブランド以外が提供する電子マネーの搭載を制限する場合
- 他の国際ブランドと同等以上の取扱いとすることを義務化する「最恵国待遇(MFN)」条項を強要し、市場閉鎖効果または価格維持効果が生じる場合
- 外貨建て決済サービスを提供したクレジットカード会社に対する手数料を高額にする行為
また、国際ブランドやクレジットカード発行会社が、加盟店に対する「優越的地位の濫用」を防ぐため、国際ブランドは、「インターチェンジフィーの標準料率を公開することが望ましい」とした。一方、国際ブランドとクレジットカード会社が共同してインターチェンジフィーの標準料率を決定する場合や、クレジットカード会社が共同して標準料率を用いることを決定する場合は、独占禁止法違反となる可能性があるとした。
【参照ページ】(平成31年3月13日)クレジットカードに関する取引実態調査について
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