バチカンのカトリック教会司教会議(Synod of Bishops)は10月25日、南米アマゾン地域に限定し、従来認められていなかった既婚者男性の「司祭」への叙階を容認することを決定した。叙階とはカトリック教会において、地域協会を治める「司教」を補佐する「司祭」や、それに次ぐ「助祭」に任じられること。司教会議は、ローマ法王の諮問機関で、既婚男性の司祭を認める歴史的変革を決めた。
今回の決定の背景には、アマゾン地域での人材不足がある。司祭適格男性が数少なくなったことから、南米アマゾン地域のカトリック教会司教約180人は、バチカンに対し、既婚男性の「司祭」叙階を容認するための司教会議の開催を要求。「南米地域」や「すでに教会の助祭に任じられている既婚男性」等の条件は設けられたものの、今回合意に至った。ローマ法王は、「独身」については教義で規定されているわけではなく、変わり得るものだと説明した。
カトリック教会は、11世紀から「独身」を司祭の任命条件としてきた。背景には、司祭の私有財産が家族への相続されるのを避け、確実に教会へ譲渡させる目的がある。今回ローマ法王は、同様の人手不足を理由に、女性の助祭叙階に関する検討を再開することも決定した。保守派や伝統主義者の中には、既婚男性司祭や女性助祭の容認は、カトリック教会を破滅させると懸念の声も出ている。一方で、司祭の中には、容認を南米に限定せず、世界中で採用すべきとの声もある。
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