英ロンドン交通局(TfL)は11月25日、タクシー配車アプリ世界大手米Uberに対し、今後ロンドン市内での営業ライセンスを更新しない意向を表明した。Uberにとって英国は欧州最大の市場。同社によれば、ロンドン市内だけで45,000人の登録ドライバーを抱え、350万人の乗客(ライダー)がアプリ登録している。
TfLは2017年9月、Uberに対し営業ライセンスの更新を拒否。しかしUberが不服として提訴し、行政裁判が開始。2018年6月、英ウェストミンスター治安判事裁判所は、Uberに対し、15ヶ月間の仮ライセンス付与が妥当との考えを示し、2019年9月までは事業が継続できることとなっていた。そして9月、TfLは、仮ライセンスの2ヶ月延長を通知し、11月末が正式な営業ライセンス判断の最終期限となっていた。
【参考】【イギリス】ロンドン交通局、ウーバーの営業免許更新を拒否。賛成派と反対派の対立深まる(2017年10月9日)
【参考】【イギリス】治安判事裁、ウーバーにロンドン市内での仮営業免許を15ヶ月付与する考え(2018年7月1日)
TfLは、仮ライセンス付与の間、ドライバーの身元確認や保険、安全に関する問題への対処を求めていたが、今回、同社のアプリ上で、登録ドライバーが、別の未登録ドライバーに対し自らの写真を提供し、未登録営業を幇助したことが43人もいたことことを問題視。さらに43人の多くは、Uberにより登録資格を剥奪されていた悪質ドライバーであり、未登録営業が2018年後半から2019年前半に多く発生していること、また直近の11月中にも未登録営業が確認された。
ロンドン交通局は「Uberは課題に対してある程度対処してきたが、今後も同様の問題が再発しない保証はない」とし、安全性を最優先する形で今回のライセンス更新拒否の理由を説明した。
Uberは、今回の決定を不服とし、提訴する考え。提訴後21日間は法律により営業が継続できることになっている。TfLが問題視した未登録営業については、TfLが同事案を発見したのは2019年5月と最近であり、それ以降技術的な対応を実施し、顔認証技術も導入しようとしていると、TfLの決定の不満を示している。
内藤 志穂
株式会社ニューラル サステナビリティ研究所 リサーチャー
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