日本取引所グループの東京証券取引所は2月21日、金融庁金融審議会市場ワーキング・グループ「市場構造専門グループ」が2019年末にまとめた報告書を受け、新市場区分を発表した。
【参考】【日本】金融庁、東証の市場区分見直しで、TOPIXの採用銘柄も絞る方向。2022年上半期を目途(2019年12月30日)
今回の発表では、東京証券取引所に現在開設されている5つの市場区分を、3つに再編することが柱となる。現在の5つの区分は、「東証一部(約2,100社)」「東証二部(約500社)」「ジャスダック・スタンダード(約700社)」「ジャスダック・グロース(約50社)」「マザーズ(約300社)」。上場企業にとって、「東証一部」が圧倒的な花形のイメージが強く、老舗企業もベンチャー企業も最終的に東証一部を目指す傾向にある。そのため、現在東京証券取引所に上場している企業のうち、半数以上が東証一部に上場している状態が生まれている。今回の答申報告書では、現在の区分は、「各市場区分のコンセプトは曖昧であり、多くの投資家にとって利便性が低い」と判断した。
今回提示された再編では、まず大手企業のみで構成する「プライム市場」を新たに創設する。既存の東証一部上場企業は、自己選択により引き続きプライム市場に上場が可能だが、流通時価総額等の上場・退出基準を厳格化し、一定の移行期間を設けた上で基準を満たさない企業は、プライム市場からそれ以外の2つに転出させる。結果的に、プライム市場に残れない企業が出てくる。また、プライム市場の上場企業には、他の上場企業よりも厳しいコーポレートガバナンス・コードを適用し、コーポレートガバナンスのレベルを上げる。
プライム市場での上場・退出基準では、東証一部への上場を維持できる現行の「時価総額20億円」を大幅に引き上げ、流通株式時価総額100億円以上と規定。また流通株式の定義も厳しくし、株式10%未満の保有であっても流通性が乏しい株主の保有する株式は新規ルールでは流通株式とはみなされない。「流通株式の比率35%以上」は据え置く。
残りの2つの市場区分は、「スタンダード市場」と「グロース市場」。スタンダード市場には、現在の東証二部とジャスダック・スタンダードの上場企業を想定し、コーポレートガバナンス・コードの対象とする。ジャスダック・スタンダードの上場企業は現在、コーポレートガバナンス・コードの基本原則のみが適用されているが、今後は全原則が適用される。グロース市場は、ジャスダック・グロースとマザーズの上場企業を想定し、主にリスクの高いベンチャー企業が上場する市場区分となる。
新市場区分は2022年4月1日からスタート。現上場企業は、新市場区分のどの市場で上場するかは各自の選択に任せる。但し、2021年6月末時点で新たな上場基準に適合しているかを診断し、報告しなければならない。基準を満たしていない場合は、適合に向けた計画書を提出すれば経過措置が適用される。
【参照ページ】新市場区分の概要等の公表について
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