英控訴院(最高裁判所に次ぐ裁判所)は2月27日、英政府が進めるロンドン・ヒースロー空港の第3滑走路建設について、法定化された2050年二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を十分に考慮しておらず違法との評決を下した。英政府は、建設計画を白紙撤回するか、新たな申請を出すかのどちらかが迫られることになった。
今回の裁判は、気候変動に関心の高い弁護士ボランティア集団Plan Bが提訴したもの。2019年5月には高等法院での一審では敗訴していたが、控訴院に控訴。今回の勝訴判決が出た。Plan Bは訴状の中で、第3滑走路建設計画が、パリ協定の1.5℃目標との整合性を説明していない点を問題視していた。また、第3滑走路については、高等法院で、大気汚染、渋滞、財政負荷等に関する他の裁判も行われているが、今回控訴院は、他の裁判での係争点については言及しなかった。そのため、別の観点で違法判断が今後も下される可能性がある。
ヒースロー空港は、年間利用者数が8,000万人を超える世界で最も多忙な空港の一つ。英政府は、140億ポンドをかけ、第3滑走路を建設し、2028年までに完成させ、日量700機以上の発着能力を新たに確保する予定だった。
英ボリス・ジョンソン首相自身は、2015年に第3滑走路建設に反対する意見を表明していた。ジョンソン首相は目下、高速鉄道計画「HS2」を大きく推進しており、完成すれば国内線の需要を下げられるとみている。HS2は、ロンドンとバーミンガムを結ぶ路線が2028年から2031年までの間に完成する見込み。さらにマンチェスターやリーズまで延伸する計画も進められている。
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