【アジア】H&M、委託先工場に契約履行を保証。新型コロナでもサプライヤー重視。但し新規発注は抑制

　アパレル世界大手スウェーデンH&Mは3月29日、アパレル委託先縫製工場に対し、発注済み商品の購入を契約通り履行することを保証すると発表した。新型コロナウイルス・パンデミックで、バングラデシュ等の衣料品サプライヤーが、キャンセルや出荷の遅延に悩まされていることが背景にある。

　同社は、具体的な国やサプライヤーについて言及していないものの、毎年バングラデシュ工場230ヵ所以上から約40億米ドル（約4,300億円）相当の衣料品や繊維製品を調達している模様。繊維産業は、世界の貿易や発展途上国の経済成長、雇用、安定において、重要な役割を果たしているとし、サプライヤーと従業員の立場の弱さを理解した上で、今回の判断に踏み切った。但し、新規発注については一時的に停止せざるをえない状況だという。

　バングラデシュ縫製製造・輸出業者協会（BGMEA）の報告によると、3月29日時点で工場1,025ヵ所の作業がキャンセルとなっている。金額換算で28.6億米ドル（約3,000億円）相当。BGMEAは、同国製造工場に対し、個人用保護具（PPE）2万個を寄付する予定だとした。

　さらにカンボジアでは、カンボジア縫製メーカー協会（GMAC）が新型コロナウイルス・パンデミックで危機的状況に瀕しているすべてのステークホルダーに対し、声明を発表した。バイヤーには、製造済み・製造中の商品の支払いを既存契約通り履行することを要請。工場には、労働環境の衛生管理や労働者の安全の確保を喚起した。労働者と労働組合に対しては、他社との距離を保つことや、宴会の実施を最小限に留めること等、職場で指示された科学に基づく予防法を遵守するよう求めた。

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所