英最高裁判所は4月29日、英政府が2016年に制定した省令に関し、英地方年金基金が特定の国や軍事産業からのダイベストメントを禁止できるとした規定について、違法との判断を下した。
今回の裁判は、2013年の制定された公的年金基金に関する「公共サービス年金法」に基づく省令として、2016年に制定された地方政府年金スキーム(基金の管理と投資)規則が、根拠法の公共サービス年金法に対する違法性を確認したもの。地方年金基金が違法性を裁判所に確認するため提訴していた。
同規則では、英政府は、地方年金基金に対し、英政府の防衛・外交方針と一致しない場合に、外国や英国の防衛産業に対するダイベストメントを禁止できる権限を認めていた。2017年には高等法院で違法判決が出たが、2018年に控訴院で一審が棄却。不服とした原告側が、最高裁判所に上告されていた。
今回最高裁判所は、外国や英国の防衛産業に関する規定が同規則に設けられている背景について、英国政府の外交・通商政策を損ねたり、誤った人種差別を招かないようにするためと推察されると判断。一方で、同法は、公的年金基金の投資戦略や管理方針について規定するためのものであり、その中で政策追求のための規定が設けられているのは越権行為と指摘。高等裁判所の判決を支持した。外交・通商政策や人種差別に関する政策は、年金基金ではなく、英国政府自身の責任とした。
提訴したグループは、イスラエル政府のパレスチナ入職を人権侵害行為とみなし、関連企業からダイベストメントを実施する行為や、防衛産業からのダイベストメントを推進する活動を展開していた。今回、最高裁判所での判決が出たことで、同種のダイベストメントが法的にも認められた形となった。
【参考】【国際】国連人権高等弁務官事務所、イスラエル入植事業に関与している企業名を公表。人権侵害(2020年2月17日)
【参照ページ】R (on the application of Palestine Solidarity Campaign Ltd and another) (Appellants) v Secretary of State for Housing, Communities and Local Government (Respondent) [2020] UKSC 16
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