国際労働機関(ILO)は5月14日、新型コロナウイルス・パンデミックで社会的保護制度の重要性が再認識されたことを受け、発展途上国政府に対し、将来の危機に備えた包括的な社会的保護制度の導入を呼びかけるレポートを発表した。
同レポートは、今回のパンデミックでは、多くの発展途上国は、医療へのアクセス、雇用保護、所得減少ダメージの緩和等で暫定的な社会的保護政策を打ち出したが、暫定ではなく包括的な制度の恒久的な導入が必要と指摘。1952年の社会保障(最低基準)条約、2017年の平和及び強靱性のための雇用及び適切な仕事勧告(第205号)、人権、国連持続可能な開発目標(SDGs)でも提唱されている社会的保護措置を早急に整備するよう促した。
とりわけ必要な制度整備としては、医療アクセスを保証するための追加の国庫支出、給付金と対象者数を拡大した現金支給の強化、社会保障の対象外となっているインフォーマルセクター労働者をカバーする社会保障制度の構築、休業補償や失業給付金を充実させることによるディーセント・ワークと雇用・所得保護の実現、雇用政策と社会的保護政策の調整、社会的保護分野へのサステナブルファイナンスの推進等。
ILOは、「社会的保護の床(Social Protection Floor)」という概念を打ち立て、最低限保証される生活水準を担保する社会的保護制度の導入を促している。今回、パンデミックによりあらためて「床」の整備や「床」水準の引き上げの重要性が再認識された。
【参照ページ】Plug social protection gaps in developing countries to prevent future crises, ILO says
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