国連責任投資原則(PRI)は9月9日、機関投資家向けにEUタクソノミーの活用方法をまとめた初の包括的なケーススタディ・レポートを発表した。EUでは、2021年末までにEUタクソノミーに準拠する必要があるが、すでに一部の機関投資家は先行して自主導入を始めている。今回のレポートは先行導入している機関投資家40機関以上のケーススタディをまとめた。
EUタクソノミーを遵守する投資運用を実現するには、データの利用可能性やタクソノミーの詳細な判断に関する様々なハードルがあると考えられていたが、先行導入した機関投資家は、準拠するための方策を見出し始めている。
今回のケーススタディでは、困難な作業となるEUタクソノミー遵守のためには、極力早く機関投資家内で検討と準備を始め、小さくプロジェクトをスタートさせてから、展開を拡大していく手法の有効性を伝えた。
また必要なデータについては、特にEU外の企業や比較的小規模な企業からのデータ把握の難易度は上がるため、早めにデータ開示の必要性を伝えた。そうすることで、EU外の企業や比較的小規模な企業をポートフォリオに加えたサステナブルファンドを構築できるとメリットを提示した。
また投資先企業からの情報獲得では、他の投資家との協働も有効とした。投資家で連携することで投資先企業への情報開示を促すベストプラクティスを共有でき、また協働してデータ開示をエンゲージメントするとよいとした。またデータプロバイダーとの協働も推奨した。
その上で、当局に向けても提言を発表した。提言としては、企業に正確な情報開示を促すための制度の構築、EUタクソノミーを用いた規則に関するガイダンスの策定、EU域外で検討されているタクソノミーとの一貫性実現の3つに言及した。
【参照ページ】Testing the taxonomy: insights from the PRI taxonomy practitioners group
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