欧州委員会は7月29日、インフラ投融資向けに、2021年から2027年までの気候変動緩和・適応に関する新たな技術ガイダンスを発行した。EUでは2014年から2020年にも同様の技術ガイダンスを発行していたが、昨今の新たな政策目標や技術知見を基にアップデートした。
同ガイダンスは、インフラプロジェクトについての気候変動対策を実現するための指針をまとめたもの。EUの2030年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)、2030年排出量55%削減、「Do Not Significant Harm(DNSH)原則」を盛り込んだ。また、InvestEU、コネクティング・ヨーロッパ・ ファシリティ(CEF)、欧州地域開発基金(ERDF)、結束基金(CF)、ジャスト・トランジション(公正移行)基金(JTF)等のEUの政策基金の要件基準にも準拠した。
同ガイダンスの内容は、インフラプロジェクトやプログラムの計画、開発、実行、モニタリングを行う際に、気候変動の緩和・適応の分析のフェーズ1、スクリーニングと詳細分析を実施するフェーズ2を設け、インフラ投融資判断を行う際の情報を提供。物理的の特定、分類、管理するための共通の原則と手法も定めている。
気候変動の影響では、鉄道、橋梁、発電所等、耐用年数の長い資産やインフラにすでに影響を及ぼしており、将来的にも影響強まると考えられている。例えば、海面上昇の影響を受ける可能性のある地域での建設には特に注意が必要。同様に、鉄道線路の耐熱性は、過去の値よりも予測される最高気温の上昇を考慮する必要があるという。
同ガイダンスでは、2050年以降に寿命を迎えるインフラでは、あらゆるプロジェクトの運用、保守、インフラ廃止を、気候変動に左右されない方法で行うべきと規定。これには材料のリサイクルや再利用等のサーキュラーエコノミーに関する内容も含まれる。
同ガイダンスは、欧州投資銀行(EIB)が策定に参加。プロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)、環境影響評価(EIA)、戦略的環境評価(SEA)のプロセスにも整合しており、加盟国の国別気候変動対策プロセスを支援するための提言も含まれている。
【参照ページ】Commission adopts new guidance on how to climate-proof future infrastructure projects
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