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【アメリカ】エネルギー省、2035年電源構成見通し発表。太陽光・風力は原発の約30倍の規模

 米エネルギー省所管の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は8月30日、米国で2035年までにクリーンエネルギー100%を実現するための技術や社会実装ペースを分析した報告書を発表した。

 同報告書は、連邦議会でインフレ抑制法(IRA)及びインフラ投資・雇用法(BIL)が制定されたことを受け、二酸化炭素排出量を2030年までに2005年比で40%削減するための在り方として、エネルギー省としての見解をまとめたもの。

 今回の報告書では、技術や社会実装の制約に関し4つのシナリオを用意。クリーンエネルギーには再生可能エネルギーと原子力発電、及びCCS付火力発電の3つが含まれるが、いずれにシナリオでも、風力発電と太陽光発電が発電量の60%から80%と大半を占めるとの結果が出た。そのため、年間で太陽光発電で40GWから90GW、風力発電で70GWから150GWの新規設備容量を確保していく必要があるとした。この水準は現状の4倍の規模となる。

 原子力発電は、太陽光発電や風力発電が不向きな土地で能力を発揮。2035年までに現在の設備容量を2倍以上に拡大する。それでも設備容量全体に占める割合は、最も多いシナリオでも3%弱に留まる。背景には、再生可能エネルギーの発電コストが、原子力発電を下回るため。

 炭素回収・貯留(CCS)に関しては、コスト競争力が実現できるシナリオと実現できないシナリオの双方を用意。現時点では経済的な実現可能性については考えを保留した形。

 今回の4つのシナリオでは、手なりシナリオと比べ、いずれも設備容量が約2倍にまで増加する。理由は、太陽光発電や風力発電は、天候に左右され、設備利用率が低下するため。それでも大規模に太陽光発電や風力発電を展開しに行く考え。同時に送配電網も大規模に拡張する。電力供給の安定化では、貯留したグリーン水素やブルー水素を燃料とする発電で調整することを想定した。各シナリオでは、2035年の水素貯留容量は、約100GWから680GWと見積もった。実現に向け、水素貯蔵、輸送、パイプライン・ネットワーク、クリーン水素生産に関するインフラを大幅に整備する必要があるとした。

 各シナリオに必要な投資総額は、3,300億米ドル(約46兆円)から7,400億米ドル(約100兆円)。一方、化石燃料の使用量が減少することで、今後数十年間で最大13万人の死亡が回避され、3,900億米ドル(約54兆円)から4,000億米ドル(約55兆円)を節約することができるとした。さらに、物理的リスクによる損害回避コストを考慮すると、さらに1兆2,000億米ドル(約166兆円)以上節約できるとした。

 今後の検討課題としては、「電化の飛躍的な加速と需要の効率化」「新しいエネルギーインフラの急速導入」「クリーンエネルギー製造とサプライチェーンの拡大」「新技術を市場に投入するための継続的な研究、開発、実証、展開の支援」の4つを挙げた。特に、カーボンニュートラル型の電力を実現する上で、需給不一致を克服するための「最後の10%の課題」がコストを大きく上昇させる要因となっていると指摘。NRELは、「最後の10%課題」を解決する方法の研究を進めるとした。方向性としては、クリーン水素等の低炭素燃料、先進原子力発電、価格反応型需要応答、炭素回収・貯蔵(CCS)、直接大気回収(DAC)、先進グリッド制御等の大規模商業化に可能性を示した。

【参照ページ】NREL Study Identifies the Opportunities and Challenges of Achieving the U.S. Transformational Goal of 100% Clean Electricity by 2035

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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