米バイデン政権は9月8日、全米を対象に、熱波、旱魃、山火事、洪水、沿岸浸水の気候変動物理的リスクを表示した災害マップ「Climate Mapping for Resilience and Adaptation(CMRA)」を公表した。同様のマップを発表するのは初。主に地方政府が利用者として想定されているが、企業も活用できるツールとなっている。
同ツールは、連邦政府等の情報・データを集約し、一つの災害ハザードマップとして掲載した。まず、現時点で警報できている場所の把握がリアルタイムで可能。さらに、将来リスクに関しても、国勢調査地区レベルでマップ表示した。将来リスクに関しては、米国家気候評価で使用された気候モデルに基づき、低排出量と高排出量の双方のシナリオでシミューレーションした。
また同ツールは、対策として、連邦政府が提供している一連の補助金等の支援策情報も集約。補助金申請をアシストするため、申請書作成補助ツール「CMRA評価ツール」も同時に掲載した。バイデン政権は、社会的支援が必要な地域を優先的に支援する政策を打ち出しており、補助金の優先適用可否を判定する気候・経済的公正審査ツールも搭載した。
バイデン政権は、インフレ抑制法で用意する予算も投下し、同ツールの精度や利便性の向上を図っていく考え。すでに、海洋大気庁(NOAA)が発行した「2022年海面上昇テクニカルレポート」のデータも反映し、米国の州と準州の2150年までの海面上昇予測を更新。建築基準法採用追跡ポータルのデータも活用し、洪水、ハリケーン、竜巻等へのレジリエンスを備えているかという地域情報も搭載済み。
【参照ページ】FACT SHEET: Biden-Harris Administration Launches New Climate Portal to Help Communities Navigate Climate Change Impacts
【ツール】CMRA
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