世界保健機関(WHO)は11月6日、開幕した国連気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)で、気候変動による健康影響を主要論点とするよう訴えた。WHOはCOP27の会場で、ウェルカム・トラストの協力を得て、ヘルス・パビリオンを開催。気候変動による健康影響が大きいと警鐘を鳴らしている。
WHOは今回、人間の健康は、生態系の健康に依存しており、生態系は今、森林伐採、農業等の土地利用変化や急速な都市開発によって脅かされていると指摘。動物の生息地がさらに侵食されることで、人間に有害なウイルスが動物宿主から移行する機会が増えると危機感を募らせた。
WHOは、2030年から2050年にかけて、気候変動により、栄養失調、マラリア、下痢、熱ストレスで、現状よりも年間約25万人の死者がでると予想している。健康被害による直接コストも、2030年までに年間20億米ドルから40億米ドルに上がると推定した。今後、熱波、旱魃、壊滅的洪水、ハリケーンや熱帯性暴風雨の強大化により、これらの異常気象要因が重なることで、人間の健康への影響は増大し、さらに加速される可能性があるとした。
具体的な事例としては、「アフリカの角」地域では、過去数十年で最悪の旱魃に見舞われ、3,100万人が飢餓に、1,100万人の子供が栄養失調に直面していること等を挙げた。この影響は食料安全保障の問題として、世界に広範な影響を与えるとの見方も伝えた。また近年では、中欧のように、これまで異常気象の少なかった地域でも被害が拡大しているとした。
WHOは今回、気功政策でも健康にも焦点をあてるべきと強調。対策としては、化石燃料の公正・公平かつ迅速な段階的廃止と、クリーンなエネルギーの未来への移行を主導するよう呼びかけた。
【参照ページ】Health must be front and centre in the COP27 climate change negotiations
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