英ビジネス・エネルギー・産業戦略省とエネルギー安全保障・ネットゼロ省は2月9日、「低炭素水素認証制度」を2025年までに開始すると発表した。今後パブリックコメントの募集に入る。
同制度は、低炭素水素のサステナビリティを検証し、政府公認の認証を付与するもの。クリーン性の高い水素供給を主導することで、世界の水素エコノミーの競争力をリードする考え。現在世界的にクリーン水素の信頼性を付与する外部補償制度はなく、実現すると世界初となる。
英政府は、低炭素水素の需要先として、エネルギーだけでなく、肥料や鉄鋼等の製品原料や、ガラス製造やセラミック製造での高温プロセスの代替燃料を狙っている。
現在、英政府では省庁再編の最中にあり、今回は両省での発表となった。またエネルギー安全保障・ネットゼロ省は同時に、2022年7月に英国初の水素チャンピオンに任命されたジョンソン・マッセイのジェーン・トゥーグッド触媒技術事業最高責任者の任期を6ヶ月間延長することも決定。水素チャンピオンは、政府と産業界を繋げる要の役割を担う。
【参考】【イギリス】スナク首相、省庁再編を実施。ネットゼロとイノベーション促進で2つの省を新設(2023年2月8日)
英政府は2021年、水素戦略を発表。現在、英国のエネルギー安全保障戦略として、2030年までに低炭素水素製造能力を最大10GWにまで倍増させるコミットメントを設定しており、今回の認証制度もその一環。
【参考】【イギリス】政府、包括的な「水素戦略」発表。グリーン・ブルー両睨み。基準策定も(2021年8月2日)
【参考】【イギリス】政府、大規模エネルギー転換が着々展開。地域熱供給、水素、高温ガス炉等(2023年1月5日)
さらに英運輸省は2月9日、世界初の水素燃焼エンジンを搭載したJCバンフォード・エクスカベターズ(JCB)製の建機のバックホーローダーを英国公道で使用することを承認。同エンジンはJCBが1億ポンド(約160億円)をかけて開発した。
ビジネス・エネルギー・産業戦略省とエネルギー安全保障・ネットゼロ省はまた2月7日には、老朽化したヒートポンプ設備を省エネ性能の高い設備に更新する際の補助金制度「Heat Network Efficiency Scheme(HNES)」を新たに開始し、3,200万ポンド(約50億円)の予算投下を発表。システムの稼働を確認する最先端のデータ・モニタリング・システムも導入する。
【参照ページ】New UK certification to boost British hydrogen sector
【参照ページ】£32 million boost to upgrade existing heat networks and reduce energy costs
【参照ページ】World’s first hydrogen-powered digger set to drive on UK roads
【画像】JCB
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