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【日本】経産省、2023年度再エネ負担金大幅減額。原発賠償負担金額も決定。GX脱炭素電源法案審議も

 経済産業省資源エネルギー庁は3月24日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)制度とFIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定。また3月31日には、原子力発電に関する2023年度の一般負担金年度総額及び負担金率を発表した。これにより2023年度の電力関連の公的費用が固まった。

 再生可能エネルギー特別措置法に基づく2023年度以降のFIT買取価格は、屋根上太陽光発電は上期が減額だが、下期は大幅に増額、陸上風力発電(リプレース)は減額、それ以外は維持となった。また小型陸上風力発電は今後減額した上で、2025年度にもう一段階減額することが決まった。結果、高額買取が維持される電源は、小型地熱発電(15,000kW未満)が40円、バイオマス発電(未利用材で2,000kW未満)が40円、浮体式洋上風力発電が36円、バイオマス発電(メタン発酵バイオガス)が35円、小型水力発電(200kW未満)が34円、バイオマス発電(未利用材で2,000kW以上)が32円、小型地熱発電(全設備更新型で15,000kW未満)が30円となる。大型の発電所については、すでに固定価格買取ではないFIP制度への移行が始まっている。

 2023年度の賦課金単価は、1kWh当たり1.40円で決定。2022年度の3.45円から大幅に減額となる。2013年の賦課金開始以降、減額するのは今回が初。算定の計算式は変わっていないのだが、燃料価格の高騰で再生可能エネルギー電気により、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格が高騰したことで、回避可能な費用が大幅に増えたことが背景となった。

 算出計算式は、買取費用等の総額は4兆7,477億円から、回避可能費用等3兆6,353億円を除き、広域的運営推進関連経費を9億円足した合計が1兆1,133億円。これを販売電力量全体の7,946億kWhで割り、1.40円となる。

 一方、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく原子力損害賠償・廃炉等支援機構の一般負担金年度総額が約1兆9,4700億円に決定。再エネ賦課金を大きく上回った。これを原子力発電を保有している各社で分担する。負担率最大は東京電力ホールディングスで34.7%(6,755億円)。次に関西電力の20.43%で3,977億円。3番目が九州電力の10.08%で1,963億円。

 また経済産業省電力広域的運営推進機関(OCCTO)は3月29日、再生可能エネルギーを最大限活用していくための「広域連系系統マスタープラン」を発表。将来の投資額シナリオとして、6兆円から8兆円と表明した。年間投資額にすると5,500億円から7,300億円程度となる。最も投資額が大きいのは、北海道-東北-東京の広域系統整備に2.5兆円から3.4兆円。北海道内の増強でも1.1兆円を見立てた。投資の原資は、再エネ賦課金のような全国負担の賦課金方式が検討されているが、詳細は今後。

 国会では現在、GX脱炭素電源法案の審議も進められている。太陽光発電設備に係る早期の更新や増設へは、追加投資部分に、既設部分と区別した新たな買取価格を適用する制度を新設することや、送電網整備では、経済産業大臣が認定した整備計画のうち、再エネの利用促進に資するものは、工事に着手した段階から系統交付金を交付することやOCCTOから借入が可能な制度等を新たに盛り込んでいる。

 また同法案では、原子力発電に関し、運転期間を40年とした上で、安定供給確保、GXへの貢献等の観点から経済産業大臣の認可を受けた場合には、運転期間の延長を認める制度変更を実施。「運転期間は最長で60年に制限する」という現行の枠組みは維持した上で、原子力事業者が予見し難い事由による停止期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外する。

 さらに、現行の原子力損害賠償・廃炉等支援機構の一般負担金は、福島第一原子力発電所の廃炉のみが対象となっているため、その他の原発の廃炉のための積立を行う廃炉拠出金制度を新設し、原子力発電事業者に納付を義務付ける。使用済燃料再処理機構(NuRO)が所管し、第三者委員会で廃炉拠出金の各社への負担額を設定する。これにより、原子力発電についてはさらに国民負担が嵩むことになる。

【参考】【日本】政府、GX実現に向けた基本方針を閣議決定。国際的な理解が得られない場合、絵に描いた餅(2023年2月10日)

【参照ページ】再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します
【参照ページ】原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく一般負担金年度総額及び負担金率、令和4事業年度特別負担金額、令和4事業年度廃炉等積立金の額を認可しました
【参照ページ】広域系統長期方針(広域連系系統のマスタープラン)の策定について
【参照ページ】「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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