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【日本】2023年株主総会、気候株主提案に多くの賛成集まる。金融庁はルール整理へ

【日本】2023年株主総会、気候株主提案に多くの賛成集まる。金融庁はルール整理へ 1

 環境NGO4団体は6月29日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ、三菱商事、東京電力ホールディングス、中部電力の6社に対して実施した株主提案の結果を発表した。いずれも企業取締役会側は反対推奨していた。

【参考】【日本】環境NGO4団体、気候変動株主提案提出。メガバンク3行、三菱商事、東電、中電(2023年4月12日)

 みずほフィナンシャルグループに対して実施した定款の一部変更の議案では、投融資ポートフォリオのパリ協定整合性では、19.0%が賛成した。前回2020年時の賛成は34%だった。

 三菱商事に対して実施した定款の一部変更の議案では、中期・短期の目標設定に関しては19.84%、新規の資本支出のパリ協定整合性では12.4%が賛成した。

 東京電力では、資本支出のパリ協定整合性の議案で、9.9%が賛成した。

 中部電力では、資本支出のパリ協定整合性の議案で、19.6%が賛成した。

 三菱UFJフィナンシャル・グループに対して実施された投融資ポートフォリオのパリ協定整合性の議案では、17.3%が賛成した。

 三井住友フィナンシャル・グループは、投融資ポートフォリオのパリ協定整合性の議案で、20.7%が賛成した。

 またトヨタ自動車では、取締役選任決議で、豊田章男取締役の再任の賛成比率が84.57%にとどまった。他の取締役は90%を大きく上回っていたことも踏まえ、豊田章男氏が、内燃機関自動車に固執しているとの見方が海外で強まっていることが大きいと考えられる。

 トヨタ自動車に対しては、気候関連ロビー活動の透明性を上げるべきとの株主提案が、2022年にデンマーク年金基金AkademikerPensionからあったが、トヨタ自動車側が事前に社内レビューを行うと表明したことで、株主提案自体は取り下げられた。しかし今年あらためて、デンマーク運用会社APGとノルウェーのストアブランド・アセット・マネジメントが同様の株主提案を提出。株主総会で15.6%の賛成が得られた。株主総会で否決されたものの、株主からのプレッシャーは高まっている。

 電源開発(Jパワー)では、HSBCアセット・マネジメントとアムンディが、マン・グループやACCRの指示を得て、定款の一部変更の株主提案を提出。二酸化炭素排出量の削減に関する事業計画策定・公表を求める議案では21.2%が賛成、報酬方針への組入れを求める議案では15.0%が賛成した。

 金融庁では目下、金融審議会の公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループで、大量保有報告制度での「重要提案行為」や「共同保有者」の定義について、集団的エンゲージメントに関わる分野での議論が進められている。

 現在の金融商品取引法では、金融商品取引業者等に対し、大量保有報告制度上、提出頻度や期限等を緩和する特例報告制度が設けられているが、その適用を受けるためには、投資先企業に対して「重要提案行為」を行わないことが必要とされている。しかし、株主提案や経営方針等の変更は、「重要提案事項」に該当する可能性が高いとみられており、スチュワードシップ・コード上の株主提案等の責務が果たせないでいる。

 また、大量保有報告制度上、共同して株主としての議決権その他の権利を行使する場合には、株式保有割合を合算する必要があるが、それにより、集団的エンゲージメントに参加した他の投資家が株主提案を行った場合に、当該株主提案に賛成すると当該他の投資家が「共同保有者」に該当する懸念がある。

 金融庁は現在、上記2つの論点について、定義の明確化を進める方針。集団的エンゲージメントを実施しやすい方向に整理されれば、ますます株主提案は進むこととなる。一方、実施しづらい方向性に整理されれば、国際的な金融コミュニティから孤立していくことになる。

[2023.7.13修正]
 賛成数のデータを一部アップデート、一部修正した。
 
【参照ページ】金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」(第1回)議事次第

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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