国際インパクト測定ガイドラインNGO資本連合(Capitals Coalition)は8月2日、社会・環境インパクトの価値を換算する「バリュー・ファクター」の作成と適用に関する透明性基準案を発表した。10月20日までパブリックコメントを募集する。
資本連合は2022年5月、バリュー・コミッション(価値委員会)を組成し、「バリュー・ファクター」の国際基準を策定する3年間のプロジェクトを開始。国連開発計画(UNDP)、インドのSEWA Cooperative Federationが共同議長に就任。他にも、World Benchmarking Alliance(WBA)、Social Value International、Finance for Sustainability(F4S)、Finance for Biodiversity(FfB)、欧州委員会、S&Pグローバル「Sustainable1」、BASF等がメンバーとして加わっている。
【参考】【国際】Capitals Coalition、価値委員会創設へ。自然資本の国際価値フレームワーク策定(2022年5月25日)
バリュー・ファクターの「ファクター」は係数を意味する言葉。具体的には今回、二酸化炭素排出インパクトの算出で、1t当たり185米ドルの社会的コストとするような金額換算を例示。共通尺度に換算することで、インパクトと軽減の必要性を明確に定量化することができるが、正確な「ファクター」が世の中に少ないことを問題視している。一方、バリュー・コミッションは、バリュー・ファクターの「バリュー」は、必ずしも金額換算だけでなく、その他の定量評価や定性評価を含めた概念として扱っている。
そこで、バリュー・コミッションでは、バリュー・ファクターの主要な提供者と開発者を世界中から結集し、バリュー・ファクターの作成と適用を世界中で管理するための明確で透明性のある国際基準の設計・開発を進めている。これにより、透明性、説明責任、一貫性の欠く金額換算を防ぐ狙いがある。
今回の基準案では、53の基準を提示。ファクターの開発において正義やダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)の考慮事項も含めて、ファクターが活用される意思決定の範囲、ファクター作成に使用された方法論、またはファクターの開発に使用されたデータソースに含まれる詳細内容等が盛り込まれた。
バリュー・コミッションは今回、基準の完成と並行して、基準の実用可能性を改善するための実証プログラムも同時に進めると発表している。企業、金融機関、政府からの募集をすでに開始しており、9月と10月に実施。10月にはアドバザリー会議を招集し、少人数で議論を調整する。
【参照ページ】The Value Commission Launches Public Consultation On Draft Transparency Criteria
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら