【国際】WHO、医療・健康システムでの気候変動対策フレームワーク提示。10のコミットメント分野

　世界保健機関（WHO）は11月9日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議（COP28）に先駆け、気候変動に強く低炭素な保健システム構築のための新たな運営フレームワークを発表した。医療システムの全体的なパフォーマンス、二酸化炭素排出量、医療システムの気候変動レジリエンスの観点で、カーボンニュートラル化のためのパスウェイを示した。

　WHOは今回、気候変動が世界の健康及び健康システムに大きな影響を及ぼしていると指摘。また医療・健康バリューチェーンは世界全体の二酸化炭素排出量の約5%を占めており、自らも削減していく必要があると伝えた。

　同フレームワークでは4つの目的が設定されている。まず、医療・保健分野の専門家が、気候変動がもたらす新たな健康リスクについて理解し、効果的に備えることができるようにする教育・指導目的。次に、各国当局にとっての政策または計画策定の基礎資料を提示する目的。3つ目は、具体的な対策開発を支援する目的。最後が、医療・保健分野の意思決定者自身の行動計画策定を支援する目的。

　提示されたフレームワークでは、10のコミットメント分野が特定された。気候変動緩和と気候変動適応の双方をカバーしている。

（出所）WHO

　WHOは2021年、国連気候変動枠組条約第26回グラスゴー締約国会議（COP28）の際に、議長国英国とともに、「気候及び健康に関する変革的行動のための同盟（ATACH）」の発足を発表。2022年6月にATACHが正式に設立され、今回のフレームワークもATACHの一環と位置づけられている。

【参照ページ】WHO unveils framework for climate resilient and low carbon health systems