世界保健機関(WHO)は11月16日、たばこ産業による保健政策への介入を撲滅するよう呼びかけるキャンペーン「Stop the lies」を正式に開始した。政策への介入の手口を伝え、各国政府に対し断固として立ち向かうよう訴えた。
たばこ産業による政策への介入の状況については、「世界たばこ産業干渉指数(GTII)」がほぼ毎年発表されている。GTIIは、WHOたばこ規制枠組み条約(FCTC)事務局が、GGTC(Global Center for Good Governance in Tobacco Control)に委託し、同条約に基づく政府のたばこ産業界からの介入防止状況を評価している。GTIIの作成には、ブルームバーグ・フィランソロピー、タイ健康促進財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団も資金支援している。
GTIIの2023年版では、世界90ヶ国のランキングを発表。その中で日本の順位は極めて低く、2019年調査では最下位33位、2020年調査では最下位の57位、2021年調査では下から3番目の78位、2023年調査では下から3番目の88位だった。外食店の中で喫煙可能なスペースが設けられていたり、たばこのパッケージに健康被害の警告を表示する規制がないこと等が問題視されている。
今回のWHOのキャンペーンでは、たばこ産業の政策介入の手口として主に7つ紹介した。
- 毎年800万人以上を殺害しながら、公衆衛生の役割を主張する。
- 自社製品が地球を汚染しているにもかかわらず、「持続可能」と主張する。
- 科学者や第三者に資金を提供し、偏った研究を行わせる。
- たばこ規制政策に反対するロビー活動を行うフロントグループに資金を提供する。
- ソーシャルメディアのインフルエンサーやイベントのスポンサーに資金を払う。
- たばこ規制の訴訟、異議申立、遅延のために弁護団を雇う。
- たばこ政策に反対する活動家グループを資金的に支援する。
その上で、WHOは同キャンペーンで、主に4つのアクションを起こしていく。
- たばこ業界のインフォデミックに対抗し、タバコ業界が子どもや若者をターゲットにし続けているかを政策決定者に提示
- たばこ産業の干渉から健康政策立案を守るよう政府に要請し、将来の世代を保護
- たばこ産業が世論や政策に影響を与えるために用いている様々な手口についての認知を拡大
- たばこ産業から青少年を守るために、青少年からの呼びかけを増大
【参照ページ】New WHO campaign highlights tobacco industry tactics to influence public health policies
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