
金融庁と日本銀行は5月10日、銀行セクターに対する気候関連シナリオ分析で、第2回の気候関連リスクに係る共通シナリオに基づくシナリオ分析(第2回エクササイズ)を2024年度中に実施する考えを明らかにした。今回も3メガバンクと連携する。
両者は2021年度に、試行的取組(パイロットエクササイズ)として、第1回のエクササイズを3メガバンクと連携して実施し、2022年8月に分析結果や課題を公表している。その後も、パイロットエクササイズで分析の対象としなかった市場リスクについて、気候関連リスクが保有有価証券の時価下落を通じて銀行の財務に与える影響の簡易的な分析も実施し、追加検討が必要なことを特定していた。
【参考】【日本】金融庁と日銀、メガバンク及び損保大手6社と気候変動シナリオ分析実証。課題浮彫り(2022年8月28日)
第1回エクササイズでは、分析対象期間を移行リスクについては2050年、物理的リスクについては2100年までとした長期のシナリオ分析を実施。一方、第2回エクササイズでは、政策変更、技術や資源の制約、またそれらを受けた企業・家計の行動変容等によって、同リスクに短期的に大きな変動が生じる可能性も考えられるため、分析対象期間を比較的短い時間軸とする予定。短期リスクが特定されると銀行は動きやすくなる。
また、市場リスクの簡易分析結果を踏まえ、第2回エクササイズでは、よりインパクトの大きい貸出への影響(信用リスク)とその評価に焦点を当てるとともに、試行的に、シナリオ分析の枠組で、金融機関に帰属する投融資先の排出量(ファイナンスド・エミッション)の削減目標の達成に向けたアクションやその貸出等のポートフォリオ運営への影響を考察することも検討する。
気候変動・自然に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「環境リスク等に係る金融当局ネットワーク(Network for Greening the Financial System;NGFS)」は2023年11月、中央銀行及び金融当局向けの気候変動シナリオ第4版を公表。全部で7つのシナリオを提示している。それを受け、金融庁は4月16日、「NGFSシナリオの活用方法に関する調査」報告書の公表し、NGFSシナリオ第4版に関する調査結果を発表している。
【参照ページ】「気候関連シナリオ分析 ~銀行セクターにおける今後の取組~」の公表
【参照ページ】「NGFSシナリオの活用方法に関する調査」報告書の公表について
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