
環境に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「環境リスク等に係る金融当局ネットワーク(Network for Greening the Financial System;NGFS)」は7月2日、中央銀行と金融当局向けに「自然関連金融リスクに関する概念フレームワーク」の最終版を発行した。2023年9月にベータ版を公表していた。
【参考】【国際】NGFS、中銀と金融当局向けに自然関連金融リスクで概念フレームワーク発行。リスク整理(2023年9月8日)
NGFSは2021年4月、独立環境シンクタンクInternational Network for Sustainable Financial Policy Insights, Research, and Exchange(INSPIRE)と合同で、生物多様性と金融安定化に関する研究グループを発足。2022年3月に報告書を発表し、自然資本(生物多様性喪失)を金融リスクと認識している。
今回の概念フレームワークは、中央銀行と金融当局での科学的根拠に基づく共通理解と共通言語を創出することを目的に、主要な概念の意義と、自然資本リスクが金融リスクへと相互連関する在り方を整理したもの。リスクの連関では、フランス銀行のロマン・スヴァルツマン氏らが2021年に整理した図を採用した。
リスク評価の枠組みとしては、「物理的リスク及び移行リスクの発生源の特定」「経済リスクの評価」「金融システムへのリスク、金融システムからのリスク、金融システム内のリスク」の評価の3段階で実施する手法を提示した。この手法は、NGFSが気候変動の金融リスクシナリオを作成したものと同じと言える。経済リスクの評価では、セクター毎に重点を置くアプローチを採用。特に農業と金属・資源採掘の2つを最優先セクターと位置づけた。
将来のリスク波及を考えていく上で、複合効果やカスケード効果も考慮し、相互のリスクが加速度的に悪化していくことも想定すべきとした。さらに、気候変動と自然のネクサス(つながり)にも言及し、ネクサスの内容としては、「気候変動が自然リスクに与える影響」「自然破壊が気候変動リスクに与える影響」「気候変動緩和・適応対策が自然リスクに与える影響」「自然対策が気候変動リスクを減少させる影響」の4つを示した。
ベータ版からの大きな改訂はなく、ファクト関係の更新と、ベータ版の公表以降に注目されるようになった他の類似フレームワークとの整合性に焦点が当てられた。また、森林生態系と淡水生態系に関する2つの事例が追加され、補足されている。
NGFSは今回同時に、自然関連訴訟に関連する主要な新たな動向の概要を示した報告書も公表した。生物多様性の喪失、森林減少、海洋劣化、炭素吸収源、プラスチック汚染に関する事例が掲載されている。
【参照ページ】NGFS publishes two complementary reports on nature-related risks
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