
G20は7月25日と26日、ブラジルのリオデジャネイロで財務大臣・中央銀行総裁を開催。共同声明を採択した。3つの優先事項として、「社会的インクルージョンと飢餓と貧困との闘い」「エネルギー移行と持続可能な開発」「グローバルガバナンス機関改革」の3つを掲げた。
まず、世界の経済認識に関しては、ソフトランディングの可能性が高まっていると表現。一方、強固で持続可能で均衡ある包摂的な成長(SSBIG)については課題があり、負の波及効果を軽減するため、物価・金融の安定や財政の持続可能性の向上を図る必要があるとした。現状では、物価安定を使命とする中央銀行の金融政策等が奏功し、インフレ率は下がってきているといた。
今後の世界経済の動向については、上振れリスクと下振れリスクの双方があり、上振れリスクでは、強化された世界協調、予想よりも早いインフレの鎮静化、安全で責任あるAIの開発と導入を含むイノベーションによる生産性の向上を挙げた。下振れリスクでは、戦争と紛争の激化、経済的分断、長期で高金利につながる予想よりも長引くインフレ、異常気象、公的及び民間部門における過剰債務、財務バッファーの欠如、予想よりも低い生産性成長率、AIを含む新たな技術から生じ得る悪影響を挙げた。
社会的インクルージョンと飢餓と貧困との闘いに関しては、不平等を削減することがSSBIGを達成するために重要と認識。世界的な所得不平等は、2000年以降大幅に縮小したが、近年その縮小は減速しているとした。
エネルギー移行と持続可能な開発については、気候変動と生物多様性喪失に対処するための資金動員を強調し、金融機関及び企業の強固で信頼性のある公正な移行(ジャスト・トランジション)計画の推進に焦点を当てたサステナブルファイナンス作業部会のとりまとめ結果を支持した。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の基準にも言及しつつ、特に中小企業や新興国・発展途上国(EMDEs)がこれらの基準から取り残されないようにすることにも留意した。
今回の会合では、通常の共同声明とは別に、「国際租税協力に関するリオデジャネイロG20閣僚級宣言」も採択。超富裕層に対する調整された最低実効課税基準を定めにいく意欲をみせた。具体的には、超富裕層の積極的な租税回避や脱税は、税制の公平性を損ない、累進課税の効果を低下させるとし、国内の納税義務の完全な遵守を確保するためことで国際協力を深化させるべきとした。
【参照ページ】20か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)等
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