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【日本】PRI、「アセットオーナー・プリンシプル」案にシステミックリスク考慮を提言

 国連責任投資原則(PRI)は7月25日までに、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局が6月3日に発表した「アセットオーナー・プリンシプル(案)」に対し、パブリックコメントを提出した。

 岸田政権では、「成長と分配の好循環」を実現していくには、家計の資金が成長投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費につながる、という資金の好循環を生み出していくことが重要とみなし、目下「アセットオーナー・プリンシプル」の策定を進めている。公表後は、年金基金や保険会社のアセットオーナーに対し、自発的な署名を求めていく考え。

 6月3日に発表された原案では、同原則は、「コンプライ・オア・エクスプレイン」型となっており、原則は5つの原則と、それを支える補助原則で構成されている。

  1. アセットオーナーは、受益者等の最善の利益を勘案し、何のために運用を行うのかという運用目的を定め、適切な手続に基づく意思決定の下、経済・金融環境等を踏まえつつ、運用目的に合った運用目標及び運用方針を定めるべきである。また、これらは状況変化に応じて適切に見直すべきである。
  2. 受益者等の最善の利益を追求する上では、アセットオーナーにおいて専門的知見に基づいて行動することが求められる。そこで、アセットオーナーは、原則1の運用目標・運用方針に照らして必要な人材確保などの体制整備を行い、その体制を適切に機能させるとともに、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部知見の活用や外部委託を検討すべきである。
  3. アセットオーナーは、運用目標の実現のため、運用方針に基づき、自己又は第三者ではなく受益者等の利益の観点から運用方法の選択を適切に行うほか、投資先の分散をはじめとするリスク管理を適切に行うべきである。特に、運用を金融機関等に委託する場合は、利益相反を適切に管理しつつ最適な運用委託先を選定するとともに、定期的な見直しを行うべきである。
  4. アセットオーナーは、ステークホルダーへの説明責任を果たすため、運用状況についての情報提供(「見える化」)を行い、ステークホルダーとの対話に役立てるべきである。
  5. アセットオーナーは、受益者等のために運用目標の実現を図るに当たり、自ら又は運用委託先の行動を通じてスチュワードシップ活動を実施するなど、投資先企業の持続的成長に資するよう必要な工夫をすべきである。

 これに対し。PRIは、運用目的の明確化を掲げた「補充原則1-1」に関し、「受益者等を特定し、運用目的を定めるプロセスにおいて、受益者等とのエンゲージメントを通じて、受益者等のサステナビリティに関する選好を考慮すべきであることを明確にすることを検討」するよう提言した。

 また、運用目標の明確化を掲げた「補充原則1-2」に関し、「特定のサステナビティ目標を実現することが、経済的なリターンに係る目標の実現において重要な『手段』となるかどうかを考慮すべきであることを明確にすることを検討し、さらに、システムレベル・リスクに関連するものを含め、サステナビリティ要素が、受益者等の最善の利益と整合する運用目的ないし目標の達成において重要であると考えられる場合には、サステナビリティ目標を設定できることを明確にすることを検討するよう提言した。

 加えて、PRIは、同原則に関連して望まれる政策として、アセットオーナーがユニバーサル・オーナーとして特定のサステナビリティ課題にどのように取り組むべきかについて、気候変動等の課題別の追加ガイダンスを提供することを要請。同時に、スチュワードシップ・コードを改訂し、サステナビリティの観点も含めたシステムレベルのリスクの組み入れと、サステナビリティも含めた幅広い選好に関する受益者等とのエンゲージメントを奨励することを検討するよう要請した。

【参照ページ】PRI response to Japan Asset Owner Principles Proposal 【参照ページ】第4回アセットオーナー・プリンシプルに関する作業部会

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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