国連食糧農業機関(FAO)は7月26日、各国政府向けの山火事対策ガイドラインを20年ぶりに改訂し、新たに「統合的山火事管理自主ガイドライン-原則と戦略的行動」を発表した。気候変動による山火事リスクの増大を踏まえ、最新の内容を盛り込んだ。
現在、山火事により、年間で3億4,000万haから3億7,000万haの森林が地表が消失している。それにより、地域社会の生活や持続可能な開発に大きな悪影響をもたらし、さらに大量の温室効果ガスを排出し、気候変動を悪化させることになっている。気候変動による旱魃の増加、暑熱、強風等の環境変化により、極端な山火事は、今世紀末までに頻度が約50%増えると予測されている。
FAOは、国連環境計画(UNEP)と合同で「世界火災管理ハブ(Fire Hub)」を2023年5月に発足。米国、カナダ、ドイツ、フランス、ポルトガル、韓国の各政府が支援している。支援総額は約500万米ドル(約7.5億円)。
今回のガイドライン発行は、世界火災管理ハブの活動第一弾となった。統合的山火事管理の概念を強く打ち出し、重要原則として、「生命・資産の保護」「経済インパクト」「気候変動と山火事の連関性」「山火事が生態系に与えるえ影響」「法制化」「政策決定」「マルチステークホルダー・アプローチ」「持続可能な生計」「人間の健康と安全」「山火事の伝統的活用」「協力」「ナレッジ移転」を掲げた。
また、先住民等のナレッジ保有者の参画を支援する戦略的行動も推奨。山火事防止だけでなく、山火事発生後の再生の観点からも、土地固有の慣習や洞察に基づく対策の有効性を重視した。
【参照ページ】FAO launches updated guidelines to tackle extreme wildfires
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