【日本】ブリヂストン、ポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術確立で大学と共同研究

　ブリヂストンは11月29日、東北大学、産業技術総合研究所、滋賀県立大学とともに、ポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術確立に向けた共同研究を開始したと発表した。

　現在、国内の廃プラスチックのうち有効利用されているのは717万tで、マテリアルリサイクル率は22%に留まっている。廃プラスチック原料の割合はポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィンが半分以上を占める。

　また様々な化合物が混合した廃プラスチックは、分離は極めて難しいため混在した状態で再生されているが、混合状態でリサイクルしたプラスチックは、不純物と結合する力が弱く、壊れやすいため、再生品としての利用範囲が限られている。

　一方、同社開発の高分子ESB（高機能性エチレン系熱可塑性エラストマー）を、ポリエチレンとポリプロピレンの境界面に接着させることで境界面を強靭化でき、接合性が飛躍的に向上することが新たに判明。今回の共同研究では、ESBによるポリオレフィン特性の変化メカニズムを分子レベルで解明し、ESBの最適な分子設計を行うことで、ポリエチレンとポリプロピレンを使用した再生素材の強度を高めるとともに、品質向上と高付加価値化を図る。

　同プロジェクトは、科学技術振興機構（JST）が運営する2024年度戦略的創造研究推進事業（CREST）の研究領域「材料創製および循環プロセスの革新的融合基盤技術の創出とその学理構築」で採択された。

　さらに同社と積水ハウスは11月28日、新築住宅施工時に排出される給水給湯樹脂配管の端材の水平リサイクル（クローズド・ループ・リサイクル）で協働を開始すると発表した。

　積水ハウスでは、独自の資源循環システムである「積水ハウスゼロエミッションシステム」により、新築施工およびアフターメンテナンスと改修時に排出される廃棄物を全国21箇所ある自社施設「資源循環センター」で回収して全てリサイクルしている。給水給湯樹脂配管はこれまで、部分的なマテリアルリサイクルのみで熱回収でのリカバリー主だった。

　一方ブリヂストンでも、給水給湯樹脂配管の内管に、マテリアルリサイクルが可能な熱可塑性樹脂のポリブテンパイプを使用しているものの、十分なリサイクルにまで漕ぎつけられていなかった。

　今回の両社は、積水ハウスが回収したブリヂストン製ポリブテンパイプを再生材メーカーでリサイクルペレットに還元。ブリヂストンでの給水給湯樹脂配管の製造に活用する。これにより積水ハウスの新築施工時に排出されるブリヂストン製給水給湯樹脂配管端材の70%以上でクローズ・ドループ・リサイクルが可能。他の用途にリサイクルされる端材を含めると全体でほぼ100%のマテリアルリサイクルを実現した。

【参照ページ】プラスチックのマテリアルリサイクル技術確立に向け共同研究を開始 【参照ページ】積水ハウスとブリヂストン、日本初となる給水給湯樹脂配管の水平リサイクルを開始 【画像】ブリヂストン

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所