
英スティーブ・リード環境・食糧・農村地域相は1月9日、2023年遺伝子技術(精密育種)法の発効に向けた手続を進める考えを表明した。同法に対しては、ゲノム編集に消極的なEUが、同法が英EU間で合意に向け交渉を続けている獣医協定に違反するとの考えを英国政府に伝えているが、英政府としては予定通り遂行する模様。
同法は、2023年3月23日に制定。EUから離脱したことを受け、ゲノム編集には自然交配と同様のリスクしかないとの報告をまとめ、事業者に対し一定の報告義務を課すものの、一律の禁止はしない制度を構築している。また、精密育種生物から生産された食品及び飼料に関し、主務大臣の交付した販売許可に従わない限り、上市を禁止することや、上市の際にトレーサビリティを確保するための要件を課すことができる権限も盛り込んでいる。一方、EU規則では、ゲノム編集された生物は、手間と費用のかかる承認プロセスを経る必要があり、英国からEUへの輸出が滞ることになる。
新たに政権についた労働党のスターマー政権は2024年9月、企業がゲノム編集製品を上市できるようにするために必要な二次立法を行うことを表明していたが、その後進展がみられず、EUとの交渉が棚上げになったとの見方も出ていた。また、EUでは2024年、欧州委員会がゲノム編集に対する厳格な規制を緩和する政策を掲げたが、EU加盟国間での合意には達していない。
英EU獣医協定は、食品や植物製品に対する国境検査を撤廃するルールを締結するもの。但し、欧州委員会は、英国がEUの食品及び植物の安全規則と「ダイナミック・アラインメント(動的整合)」に合意する場合にのみ検査を撤廃するという姿勢を採っている。
英国内の業界関係者の間では、今回の発表を受けても、ゲノム編集が解禁されるか否かについての見解がわかれている。EU内のルール形成の動きも不透明なため、いずれにしても明確な合意には時間がかかると思われる。
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