
EU加盟国首脳級の欧州理事会は3月6日、特別理事会を開催。EUの国防能力強化とウクライナ情勢について議論した。トランプ大統領がウクライナ戦争からの関与を引き下げることを宣言していることを受け、緊急で理事会を開催した。
今回の特別欧州理事会に向け、欧州委員会は3月4日、EUの国防能力を強化するための「ReArm Europe(欧州の再軍備)」計画の概要を発表している。同計画では、EU予算で1,500億ユーロ、EU加盟国予算で6,500億ユーロ、合計8,000億ユーロ(約130兆円)の国防費増額を提案している。
【参考】【EU】欧州委、EU再軍備で130兆円動員へ。安全保障への危機感。欧州理事会で議論(2025年3月5日)
ウクライナ情勢については、EUはウクライナに対し、すでに492億ユーロの軍事支援を含む1,354億ユーロを提供。そのうち無償もしくは現物支給が65%、融資が35%となっている。2025年にはさらに306億ユーロ(約5兆円)を拠出する予定で、そのうち181億ユーロは資産凍結されたロシア資産が原資となる。特別理事会では、必要な措置を前倒しして実施するよう欧州委員会に要請した。停戦交渉や和平交渉に向かうには、ウクライナが「最強の立場」に立つ必要があるとし、それをEUとして実現する必要があるとの考えを示した。
ロシアとウクライナの和平交渉に向けては、EUとしての原則を確認。5つを掲げた。具体的には、ウクライナ抜きにウクライナについて交渉しないことや、欧州抜きに他国が和平交渉をまとめようとすることも認めないとした。また、いかなる休戦や停戦は、包括的な和平合意に至るプロセスの一部としてのみ可能であり、いかなる和平合意も、将来のロシアの侵略を抑止するのに貢献するウクライナに対する強固で信頼に足る安全保障保証を伴う必要があるとした。5つ目は、和平はウクライナの独立、主権、領土保全を尊重しなければならないというもの。
今後の国防能力では、防空・ミサイル防衛、砲兵システム、ミサイル・弾薬、無人機及び無人機迎撃システム、宇宙や重要インフラ防護を含む戦略的支援、機動力、サイバー、AI、電子戦を優先分野として掲げた。民間資金も呼び込む。さらに、EUの安全保障政策は、北大西洋条約機構(NATO)の集団的自衛を補完するものとの考え方を明確にした。
また、ロシアからの天然ガス輸入についても政治課題が噴出している。ウクライナは、ロシア産天然ガスがウクライナ領内のパイプラインを通過することを契約を1月以降に延長しないことを決定。これにより、スロバキアやハンガリーがガス確保の影響を受けることとなった。そのうちスロバキア政府は、ウクライナ政府の措置を批判する事態が発生している。今回の特別理事会でも、スロバキアの状況に理解を示しつつ、欧州委員会にも両国間の協議をサポートするよう要求した。
欧州理事会は3月20日から21日に通常の理事会開催を予定しており、今回は緊急の事前意識調整の場となった。さらに踏み込んだ議論を次回会合で行う模様。また6月にはNATO首脳会議が開催されることになっている。
【参照ページ】Special European Council, 6 March 2025
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